著者
酒本 勝之 田中館 昭博 野城 真理
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

多周波インピーダンスCT装置の製作と多周波インピーダンスCTの応用前に済ましておくべき生体電気特性の基礎的検討を以下の様に行った。1.多周波インピーダンスCT装置の作成:位相検出のため高精度の電子素子を用いた回路設計と試作を行った。その結果、振幅に関し周波数50kHzでの従来のインピーダンスCTで得られた精度と同等の結果が得られた。しかし、高周波数(約100kHz以上)で、浮遊容量の影響、周波数切り替え時での相互干渉が大きく、充分な位相検出の精度が上がらず、設計変更をする必要があった。2.細胞内外液量分布の変化と生体組織の電気インピーダンス変化との関係:細胞内外液量分布の変化と生体組織の電気インピーダンス変化との関係を流動血液を用い、理論と実験を持って検討した。また、有限要素法による数値解(ラプラスの方程式の解)によりシャドウイフェクトの影響を検討した。以上の結果,シャドウイフェクトの影響により、細胞外液抵抗の変化率は細胞外液量の変化率より小さいが、細胞内液抵抗の変化率は細胞内液量の変化率にほぼ等しいことが分かった。3.人工透析時の細胞内外液変動の検討:人工透析時に患者の下肢での電気インピーダンス変化の測定を行ない、人工透析中の細胞内外液の変動を裏付ける結果が得られた。特にショック時でのインピーダンス値は不定期で急激な変動が見られ、細胞内外液量に大きく急激な変動が見られることが示唆された。4.組織温度の変化による組織内血液量の変化の測定:電気インピーダンス法を用い筋組織温の変化による組織内血液量の変化を推定した。温度の上昇により血液量の増加が推測され,従来考えられている通りの結果が得られた。