著者
田代 幸子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.25-36, 2006

『管絃音義』は院政期に成立した楽書である。従来、五行思想的な部分にのみ着目され、音楽性からは程遠い書であると目されてきた。だが、四つの円形図を手がかりに音楽要素に着目して内容を読み解くと、不可解な独自の用語もすべて音楽意識ゆえに創作されたものであり、音の輪転は完全協和音に整えられたものと分かる。観念のみにとどまらず、楽理の上からも音のコスモロジーを構築する『管絃音義』。本稿ではこの再評価を目的とする。