著者
田原 俊彦 大石 哲
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2014

近年,局地的集中豪雨,台風等による気象災害が問題となっており,その一例として河川増水による浸水被害が挙げられる.河川増水による浸水被害を抑制するためには,河川上流に位置するダムによる洪水調節の最適化が重要である.そこで本研究では,2013年台風第18号(MAN-YI)による一連の降雨時における桂川上流の日吉ダムの放流操作に動的計画法(DP),確率動的計画法(SDP)を用い,気象庁の週間アンサンブル数値予報GPVを導入することにより,事前放流を考慮したダムの放流操作の最適化の検討を行った.その結果, SDP,DPによるダムの放流操作は,週間アンサンブル予報の予報精度がある程度高ければ,実際の操作よりも洪水調節効果が高くなるが,予報精度が低ければ実際の操作よりも洪水調節効果が低くなる可能性があることがわかった.また,週間アンサンブル予報を用いて事前放流を行い,降雨が始まればダムの流入量,下流の流量を見ながら適宜ダムの放流操作を修正する提案手法においても十分に洪水調節効果を高めることができると示された.