著者
福市 彩乃 田口 香澄 菅村 玄二
出版者
関西大学大学院心理学研究科
雑誌
関西大学心理学研究 (ISSN:21850070)
巻号頁・発行日
no.11, pp.39-47, 2020-03

従来,購買行動の研究は,対人販売場面を仮定するものが多かったが,券売機やセルフレジなどの機械化が普及し始めるにつれ,こうした社会的変化に消費者がどのように対応していくかに関心がもたれるようになってきた。本研究では,映画館のチケット販売場面で,有人窓口と自動券売機の選択行動について性別と年齢層の観点から検討した。関西圏のある映画館で,既定の時間帯にチケットを購入した639名(男性310名,女性329名)を観察し,性別と年齢層で分類した。その結果,女性や中年層では販売形態の選択に差が見られなかったが,男性や若年層は自動券売機を,高齢層は有人窓口を選択する人数が有意に多かった (ps < .02) 。自動券売の歴史は古いが,映画館のタッチスクリーン式の自動券売機では,今日でも高齢層は有人窓口を利用しやすいという結果になった。今後も継続的に同様の研究をすることで,顧客と販売者の双方にとって有益な広告戦略や顧客教育につながる資料となりうる。