著者
田宮 元
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成28年度に完成した遺伝子×遺伝子ならびに遺伝子×環境相互作用のための高次元変数選択法ソフトウェアを、実際のゲノムコホートデータをテストデータとして適用して、この手法の妥当性を検証し、適宜修正を行ってきた。具体的には、前向きゲノムコホートで取得された健康診断データを応答変数として横断的解析を行い、次に、疾患二値データや前向きデータへの適用を順次試みた。手順の詳細は以下のとおり。1)環境暴露データの取り込み。宮城県住民を対象とした東北メディカル・メガバンク機構の前向きゲノムコホートで取得されていた環境暴露データについて、各変数のコーディングを行った。2)ゲノムワイドSNPジェノタイプデータの取り込み。この前向きゲノムコホートで取得されていた100万程度のSNPsのジェノタイプデータを取り込んだ。特に、SNPのクラスタリングエラーが相互作用検索時に深刻な偽陽性を生むことが知られているので、各SNPのクラスタリングに関するQCデータを利用し、低いクオリティのデータを事前に排除出来る工夫を行った。3)相互作用解析の実行。上記のデータをテストデータとして高次元変数選択法ソフトウェアにかけ、横断的な健康診断データを応答変数にして遺伝子×遺伝子ならびに遺伝子×環境相互作用の検索を実施した。これによって検出された相互作用候補を、機能的情報などから詳細にアノテーションを行い、データベース化した上で、追試研究に提供した。4)疾患二値データ(罹患・非罹患)の利用。上記集団において前向きに取得された疾患データや健康診断データを利用し、これらの応答変数に対して効果を持つ相互作用を検索し、上記の手順を繰り返すことによって、疾患感受性に寄与する相互作用候補をリストアップした。