著者
関根 康人
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-06-30 (Released:2017-07-04)
著者
荒瀬 尚
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-15)

MHCクラスII分子は様々な自己免疫疾患の感受性に最も強く関与している分子である。しかし、特定のMHCクラスII分子がどのように疾患感受性を決定するかは長年明らかになっていない。一方、我々は、細胞内のミスフォールド蛋白質を細胞外へ輸送する分子としてMHCクラスII分子を同定した。さらに解析を進めることによってクラスIIに提示されたミスフォールド蛋白質は、抗原特異的なB細胞を活性化する。そこで、関節リウマチや抗リン脂質抗体症候群等の自己免疫疾患で認められるいくつかの自己抗体を解析すると、それらは、MHCクラスII分子に提示されたミスフォールド蛋白質(抗体重鎖やβ2グライコプロテインI)に対して高い親和性を示すことが判明した(Jin et al. PNAS 2014, Tanimura et al. Blood 2015)。さらに、MHCクラスII分子に提示されたミスフォールド蛋白質に対する自己抗体の結合性は、MHCクラスII分子による関節リウマチ等の自己免疫疾患の感受性と高い相関を示すことが判明した(Jin et al. PNAS 2014)。これらのことから、細胞内のミスフォールド蛋白質がMHCクラスII分子によって、細胞外へ輸送されると、その複合体が異物として異常な免疫応答を誘導するのではないかという今までに考えられてきたのとは異なる新たな自己免疫疾患の発症機構が明らかになった。すなわち、MHCクラスII分子に提示されたミスフォールド蛋白質は、自己抗体の標的分子として、自己免疫疾患の発症に関わるという新たな自己免疫疾患の分子機序が明らかになった。
著者
中井 泉
出版者
東京理科大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

福島第一原発事故により大気中に飛散した放射性物質の性状解明を目的として,大気粉塵および土壌から強放射性の粒子を分離し,大型放射光施設SPring-8での放射光マイクロビームX線分析を中心とした非破壊の性状解明を行った。以下では平成27年度に得られた主要な成果に関して報告する。土壌試料は筑波大学の末木らによって福島県内で採集されたものであり,放射性CsおよびAgの放射能比によっていくつかのグループに分類されることが明らかとなっている。本研究では,1号機由来の放射性物質が飛来したと考えられる原発北西の地域で採取された土壌を対象に,放射性粒子の分離を行った。分離された粒子は,100マイクロメートルを超える大きさであり,球形ではなく歪なものが多い。こうした粒子の形態的特徴は,研究代表者らが先行研究中で報告した事故直後につくばで捕集された放射性大気粉塵,通称「セシウムボール(直径2マイクロメートル前後の球形粒子)」とは明らかに異なるものである。SPring-8における蛍光X線分析の結果,これらの粒子はCsよりもBaを多く含み,またセシウムボールでは検出されていないSrを含むなど,化学組成に明らかな違いが見られた。また,蛍光X線イメージングにより元素分布が均一でないことが明らかとなり,特にFeやMo,Uなどは数マイクロメートルの微小領域に濃集していた。X線吸収端近傍構造解析およびX線回折により,この粒子のバルク部分はセシウムボールと同様のガラス状物質であったが,先述の濃集点には何らかの結晶相が存在していることが明らかとなった。以上のように,2号機由来とされるセシウムボールと今回分析した1号機由来とされる粒子では,明らかな化学的性状の違いが見られた。この性状の違いは,その生成・放出過程の違いを強く反映しているものと考えられ,事故当時に1号機と2号機が異なる炉内状況にあったことを化学的に実証するものである。
著者
東 朋美
出版者
金沢大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

黄砂中の環境化学物質が、気管支喘息や花粉症などのアレルギー疾患の発症や悪化の原因になることが指摘されている。近年、気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽を代表疾患とする長引く咳(慢性咳嗽)を訴える患者さんが増加しており、本研究では、黄砂と慢性咳嗽の症状の関係を調べることを目的として、黄砂期間中の患者調査を行った。前年度に引き続き、第2期、第3期の患者調査を継続した。金沢大学附属病院の呼吸器内科にて、気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽のいずれかの診断を受けて通院している成人の方を対象に、アレルギー日記に毎日の症状を記録して頂いた。黄砂日の判定は、国立環境研究所のLIDAR観測データをもとに行い、黄砂消散係数が0.03/km、0.01/km(濃度0.03mg/m3、0.01mg/m3に相当)をそれぞれ黄砂日、非黄砂日の閾値とした。第1期調査の結果、咳、たん、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、眼のかゆみのすべての症状において、黄砂期間に症状を有する人数が、非黄砂期間より増加していた。特に、咳と眼のかゆみの症状においては、非黄砂期間に症状が無く、黄砂期間に症状を有した人が有意に認められ (p<0.05) 、黄砂が慢性咳嗽の症状に影響を及ぼすことを初めて報告した(Higashi et al. Atmospheric Environment in press)。我々の調査では、期間中毎日症状を記録する方法によって、黄砂情報に影響されることが無く、症状変化を捉えることが可能になった。また、気象庁発表の目視による黄砂日ではなく、LIDAR観測データによる黄砂日を設定したことによって、軽い黄砂飛来時の影響を捉えることができた。今後、この調査と解析を継続し、黄砂以外の要因として考えられている大気汚染物質や花粉の健康影響を考慮した詳細な解析が必要であると考える。
著者
川崎 真弘
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28 (Released:2013-07-10)

発達障害児に見られる「逆さバイバイ」のように、視点と身体表象の重ね合わせはコミュニケーション時の発達障害の一つとして重要な未解決問題である。本研究では、視点と身体表象の重ね合わせを健常者と発達障害者で比較し、発達障害の方略の違いを調べた。PCディスプレイ上に呈示された人の両手のうち一方がタッピング動作をし、被験者はその動作と同じ手でタッピングをすることが要求する運動模倣課題を用いた。方略の聞き取り調査より、定型発達者の多くが視点取得の方略を取るのに対して、発達障害群の多くは逆に心的回転の方略をとった。反応時間によるパフォーマンス結果から、心的回転を報告した被験者だけで回転角度依存性が観測されたため、この聞き取り調査が正しかったことを確認した。また、その方略の違いは発達障害のスケールの中でも「こだわり」や「コミュニケーション」のスコアと有意に相関した。さらに発達障害者は定型発達者とは異なり、自分がとった方略と異なる方略を強制されると有意にパフォーマンスが悪化した。この課題遂行時の脳波と光トポグラフィの結果を解析した結果、発達障害者は自分がとった方略と異なる方略を強制されると有意に前頭連合野の活動が増加することが分かった。前頭連合野の活動は従来研究で認知負荷と相関することが示されている。つまり、発達障害者は視点取得の戦略を使うと心的負荷がかかることが示唆された。以上の結果より発達障害者は他社視点を使う視点取得の方法より自己視点を使う心的回転を用いて運動模倣を行っていることが示された。今後はこのような戦略の違いがどのようにコミュニケーション困難と関係するかを分析する必要がある。
著者
池田 恭治 竹下 淳
出版者
独立行政法人国立長寿医療研究センター
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

骨の破壊は、引き続く骨の再生に必須の生理過程であり、造血細胞から分化して新たに形成される多核の破骨細胞が行う。一方で、病的な数や質の破骨細胞は、閉経後骨粗鬆症や関節リウマチの原因となる。本研究では、造血細胞から、骨を破壊し骨代謝サイクル開始のシグナルを送るという特殊な機能を担う破骨細胞へと分化する過程で起こるさまざまな代謝適応や細胞周期動態とその転写ネットワークを明らかにした。また、破骨細胞に分化する過程で分泌される因子を遺伝子発現解析と生化学的手法で同定し、骨の破壊から次の再生過程への転換のメカニズムの一端を明らかにした。
著者
小林 潤司
出版者
国際基督教大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

トリフェニレンにヘテロールが縮環した化合物であるトリヘテラスマネン合成の別法としてトリフェニレンの湾部が6箇所リチオ化されたヘキサリチオ体経由の合成法を活用してトリヘテラスマネン類の合成を行った。2,3,6,7,10,11-ヘキサブトキシトリフェニレンを出発原料として、TMEDA存在下、過剰量のn-BuLiを作用させ、加熱かくはんを行ったところ、効率よくヘキサリチオ体が発生することを見いだしていたので、このヘキサリチオ体に、各種典型元素試薬を反応させトリヘテラスマネンの合成を検討することとした。ヘキサリチオ体にフェニルジクロロホスフィンを作用させ、引き続いて単体硫黄を作用させることで、トリホスファスマネントリオキシドの合成に成功しており、生成物の構造異性体の分離構造決定を行った。また、別の典型元素源として、ジアルキルジクロロスタンナンを作用させることで、ヘキサスタンナスマネンの合成にも成功した。有機スズ化合物は、その他の典型金属元素と効率よくトランスメタル化が進行することが知られているため、このトリスタンナスマネンを新たな出発原料として、新たなトリヘテラスマネンへと誘導することを検討した。そこで、母体のスマネンと同様な骨格的歪みを持ち、かつ物性材料としても有用性が期待されるトリボラスマネンの合成を目指し、ホウ素原子とのトランスメタル化を検討した。その結果、各種NMRスペクトルより、少なくとも湾部の1箇所がホウ素化されたと思われる化合物の生成が示唆された。
著者
池田 勝佳
出版者
北海道大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

本研究では、(1)ナノ電極における特異な電気2重層構造を利用して、有機分子層をナノサイズで2次元パターニングする新規ソフトナノリソグラフィ手法の開発、(2)配位結合による機能性分子多層化技術の確立をめざし、これらトップダウン法とボトムアップ法の融合により、個々の単一分子には見られない性質が分子集合体に発現する機能創発を目的とした研究を行っている。本年度は、主に(2)の配位結合による分子積層法の検討を行った。原子レベルで平滑な金電極表面上に、積層膜の土台となるイミダゾール末端のアルカンチオール単分子膜を作成し、その上に金属ポルフィリンとピラジンを配位結合によって交互積層するこどに成功した。この結果は、様々な機能性分子を自在に組み合わせた分子集積構造を構築する技術として有用であり、分子集合体としての機能発現の設計に利用できると期待される。また、本手法によって集積した金属ポルフィリン層において、単層膜と積層膜で電気化学応答に違いが現れることを確認し、単一分子とは異なる性質が分子集合体に発現する可能性を見出した。また、(1)の2次元パターニング技術についても基礎的な検討を行い、さらに分子間相互作用に着目した機能創発の可能性についての検討を行った。電極表面に吸着した有機単分子層においては、分子間相互作用と基板-分子間相互作用のバランスを電気化学的に変えることが可能であり、その結果として単分子膜配向が変化する場合がある。外部からの電場印加によって単分子膜配向を変化させ、分子間の立体障害を利用して分子膜構造を動的に制御する試みにおいて、分子膜構造のin situ表面増強ラマン散乱測定から、分子コンダクタンスの制御に繋がる分子の平面性操作の可能性を示唆する結果を得た。これらは単一分子では発現しない機能を集合体として創発する例として期待される。
著者
上田 佳代
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は、黄砂の健康に対する急性影響を評価するために、長崎において、越境汚染の指標である黄砂飛来と救急外来受診との関連について明らかにすることを目的とした。予備調査として、文献レビューおよび、福岡における呼吸器疾患のデータを用いた解析を行い、それらの結果を論文として学術雑誌に投稿した。文献レビューにおいては、黄砂の健康影響に関するエビデンスが十分でなく、今後の課題として論じた。本調査として、平成22年度には、長崎市救急実態調査の救急搬送データ、長崎市内の5か所から得た大気汚染物質濃度データ、を用いた解析を行ったところ、SPM濃度上昇により、呼吸器疾患による救急搬送との間に有意な正の関連を認めた。一方、黄砂の健康影響評価にあたり、黄砂日について異なる指標を用いた解析を行った。目視による黄砂判定を用いた解析では、救急搬送の前日、2日前、3日前が黄砂日であった場合のリスクは上昇し、救急搬送当日から3日前までの間いずれかの日に黄砂日があった場合の救急搬送リスク変化率は、4.3%(95%CI : -0.7,9.5)であった。ライダー観測による黄砂消散係数に基づいて判定された黄砂日における救急搬送リスクを評価するために、高度120mにおける黄砂消散係数の値が閾値(0.13/km)を越えた日を黄砂日とし、非黄砂日に比較した黄砂日の救急搬送リスクの変化率を算出したところ、黄砂曝露による救急リスクは10.2%(95%CI : 0.6,20.6)上昇したことを見出し、黄砂消散係数を用いた黄砂判定による健康影響評価の有用性を明らかにした。さらに、後方流跡線解析の結果により黄砂日を分類し、救急搬送リスクの大きさについて比較したところ、工業地帯を通過した黄砂粒子の曝露により、救急搬送リスクが上昇する可能性を示した。
著者
跡部 真人
出版者
横浜国立大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-15)

微小な流路内で化学反応を行うマイクロリアクターは、様々な分野で応用が期待されている反応デバイスであり、これを利用した研究は1990年代初頭から分析化学の分野で、また、最近は有機合成化学の分野でも大きな成果を挙げている。とくに大きな比界面積を有し迅速な溶液混合が可能といった特徴は、均一系反応よりもむしろ固-液不均一系界面での反応のほうが効率化できるなど利点が多く、典型的な固-液界面での反応である電気化学反応においても大変魅力的なものと言える。さらに、電気化学測定・分析の領域のみならず、電解合成の分野においては、マイクロリアクターの利点はこれだけではない。電極間距離がマイクロオーダーであり、「電解液の流れがリアクター内で厳密に制御されている」といった特徴を最大限に活用すれば、従来のバッチ式反応容器(フラスコやビーカー)では決して実現できなかった全く新しい電解合成反応や電解合成システムが構築できることも予想される。このような着想に基づき、平成25年度はマイクロリアクターを利用した「連続的レドックス反応システムの開発」に着手した。具体的には連続的レドックス反応によるハロゲン化フェノール誘導体からのジアリールエーテル合成をモデルに選定し、従来のバッチ式反応容器(フラスコやビーカー)では決して実現できなかった全く新しい電解合成システムが、マイクロリアクターの活用により構築できることを検証した。