著者
中村 春作 市來 津由彦 田尻 祐一郎 前田 勉
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本研究で私たちは、東アジアにおける社会統治・統合と自己修養を語る普遍的な「言葉」として大きな力を有した儒学言説が、中国宋代、日本江戸前期において、どのようなプロセスで社会的意味を持つに至り、人間理解の基盤を形成したかを、個々の言説形成の型を対照比較することを通して、明らかにしようとした。以上の課題に即して、儒学テキストが、実際いかに「読まれ」血肉化したかという点から「訓読」論という新たな問題領域を開発し、他方、経書の一つ『中庸』を取り上げ、その多様な解釈の姿を明らかにした。