著者
永島 琢也 田尻 道彦 菅野 健児 小島 陽子 鮫島 譲司 石川 善啓 大森 隆広 益田 宗孝
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.11-16, 2013-01-15
参考文献数
14

【目的】間質性肺炎に合併した気胸の多くは難治性である.手術の選択は,合併症を考慮すると判断が困難な場合がある.手術の効果・安全性を評価する.【対象と方法】間質性肺炎合併気胸に対し,手術を施行した14例を対象とした.患者背景,治療結果,術後再発症例の臨床的特徴と手術手技,術後合併症・手術死亡を検討した.【結果】全例で気漏を停止させることができた.気胸の再発は35.7%(5/14症例)に認めた.再発症例は全例,術前ステロイド使用症例であり,CT上間質性肺炎による肺組織構造変化が及んだ範囲内から発生した病変であった.手術死亡を7.1%(1/14症例:間質性肺炎悪化1例)に認めた.術後合併症は14.3%(2/14症例:膿胸1例,間質性肺炎増悪1例)に認めた.【結語】間質性肺炎合併気胸に対する手術は有効な方法であるが,再発しやすい症例や,術後間質性肺炎増悪に注意が必要である.
著者
安藤 耕平 禹 哲漢 大森 隆広 田尻 道彦 小倉 高志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.807-811, 2009-09-15 (Released:2009-12-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は58歳,女性.人間ドックで胸部X線写真を撮影し,右自然気胸を指摘された.左自然気胸の手術歴があり,弟,長男,長女にも自然気胸の既往があった.胸部CT検査では両側に多発する肺嚢胞を認めた.顔面に線維毛包腫(fibrofolliculoma)を疑う病変と,線維性疣贅(acrochordon)を認めた.以上の所見から,Birt-Hogg-Dube症候群(以下,BHD症候群)を疑った.右気胸の根治を目的に手術を施行し,肺底部に今回の気胸の原因と思われる2cm大のブラを認め,これを胸腔鏡下に切除した.術後,BHD遺伝子の核酸配列解析を行い,BHD症候群と確定診断した.BHD症候群は,常染色体優性遺伝の皮膚疾患であり,多発肺嚢胞・自然気胸,腎細胞癌を合併することがある.気胸の家族歴があり,多発肺嚢胞を有する症例は,BHD症候群を疑う必要があると考えられた.