著者
安藤 耕平 前原 孝光 齋藤 志子 青山 徹 足立 広幸 益田 宗孝
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.367-372, 2011-05-15
被引用文献数
2

原発性自然気胸の再発が予測できるかについて検討するために,初発時に保存的治療を行った218症例を,その後再発した群(74症例)としなかった群(144症例)とに分け,再発に関わる因子について分析した.患者背景は平均年齢24.5歳,男/女199/19症例,対側の気胸の既往あり/なし21/197症例,喫煙歴あり/なし/不明93/75/50症例であった.単変量解析では,25歳未満(再発率42%),女性(63%),対側気胸の既往あり(57%),喫煙歴なし(55%)の症例で有意に再発率が高かった.多変量解析では,喫煙歴がないことのみが独立した再発の予測因子であった(p=0.006,odds比2.410).以上から,非喫煙者の原発性自然気胸は再発率が高いので,初発時でも患者の意向を考慮した上で手術を検討しても良いと考える.また,非喫煙者と喫煙者とでは自然気胸の発生のメカニズムが異なると推測される.
著者
安藤 耕平 禹 哲漢 大森 隆広 田尻 道彦 小倉 高志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.807-811, 2009-09-15 (Released:2009-12-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は58歳,女性.人間ドックで胸部X線写真を撮影し,右自然気胸を指摘された.左自然気胸の手術歴があり,弟,長男,長女にも自然気胸の既往があった.胸部CT検査では両側に多発する肺嚢胞を認めた.顔面に線維毛包腫(fibrofolliculoma)を疑う病変と,線維性疣贅(acrochordon)を認めた.以上の所見から,Birt-Hogg-Dube症候群(以下,BHD症候群)を疑った.右気胸の根治を目的に手術を施行し,肺底部に今回の気胸の原因と思われる2cm大のブラを認め,これを胸腔鏡下に切除した.術後,BHD遺伝子の核酸配列解析を行い,BHD症候群と確定診断した.BHD症候群は,常染色体優性遺伝の皮膚疾患であり,多発肺嚢胞・自然気胸,腎細胞癌を合併することがある.気胸の家族歴があり,多発肺嚢胞を有する症例は,BHD症候群を疑う必要があると考えられた.