著者
田島 陽一
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

がん増悪化における細胞融合の役割は、染色体およびDNAの不安定性によって腫瘍の表現型に多様性を生み出すことが考えられる。ただし、細胞融合が悪性腫瘍の引き金になるかは不明である。間葉系幹細胞(MSC)と膀胱癌細胞との細胞融合により融合遺伝子の形成、細胞の形質変化、および腫瘍形成に変化が見られた。また、細胞融合により多くの遺伝子が変動した。その中のX遺伝子は腫瘍の成長につれて発現が増加する傾向を示し、遺伝子破壊により腫瘍形成が抑制される知見を得た(論文作成中)。これらの結果からMSCとがん細胞との細胞融合は、がんの多様性に関与する可能性があると考えられる。