著者
吉富 淳 藤本 欣也 田形 雅通 永尾 正男 菅沼 秀基 池谷 秀樹 岡野 博一 吉見 輝也
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.1390-1396, 1991

常染色体優性遺伝形式が推定され,高率に徐脈性不整脈を合併した拡張型心筋症の1家系を報告する.この家系は不詳の心臓病で死亡した女性の子孫で2世代にわたり発症していたが,発端は15歳の男性死亡例である.その父親の同胞は本人を含め6名中4名が心エコー法・心臓カテーテル検査(心筋生検)にて拡張型心筋症と診断され,徐脈性不整脈のため4名全例がペースメーカー植え込み術を施行されている.また20歳の従姉にも洞機能不全が認められている.常染色体優性遺伝の形式をとる拡張型心筋症はまれで,さらに本家系のように徐脈性不整脈を高率に合併することは興味深く,拡張型心筋症と家族性徐脈性不整脈とのoverlapを強く示唆する.