著者
吉富 淳 藤本 欣也 田形 雅通 永尾 正男 菅沼 秀基 池谷 秀樹 岡野 博一 吉見 輝也
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.1390-1396, 1991

常染色体優性遺伝形式が推定され,高率に徐脈性不整脈を合併した拡張型心筋症の1家系を報告する.この家系は不詳の心臓病で死亡した女性の子孫で2世代にわたり発症していたが,発端は15歳の男性死亡例である.その父親の同胞は本人を含め6名中4名が心エコー法・心臓カテーテル検査(心筋生検)にて拡張型心筋症と診断され,徐脈性不整脈のため4名全例がペースメーカー植え込み術を施行されている.また20歳の従姉にも洞機能不全が認められている.常染色体優性遺伝の形式をとる拡張型心筋症はまれで,さらに本家系のように徐脈性不整脈を高率に合併することは興味深く,拡張型心筋症と家族性徐脈性不整脈とのoverlapを強く示唆する.
著者
小清水 直樹 井上 裕介 伊藤 靖弘 岩嶋 大介 菅沼 秀基 小林 淳 朝田 和博 須田 隆文 千田 金吾 田井 久量
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.25-30, 2009-01-25 (Released:2016-10-29)
参考文献数
15

背景.気管気管支アミロイドーシス(以下ア症)は中高年に多くみられる疾患であり若年者の報告はまれである.症例.15歳女性.2004年より嗅覚の低下があり,アレルギー性真菌性副鼻腔炎が疑われた.2006年8月鼻出血が続き,易出血性の副鼻腔ポリープがみとめられた.当院耳鼻科でポリープ切除術を施行し,鼻腔アミロイド(AL型)と診断された.全身検索目的および乾性咳嗽にて,当科に紹介となった.気管支鏡検査では,気管下部よりびまん性に粘膜の発赤・浮腫性の腫脹があり,易出血性で気道は狭小化していた.気管支粘膜生検でもアミロイドの沈着をみとめた.明らかな基礎疾患はなく,その他の臓器にはアミロイドの沈着はみられず,原発性と考えられた.呼吸器症状は軽微で,若年者でもあることから,吸入ステロイド剤投与にて経過観察をしている.4ヵ月後の胸部CTでは,気道病変に変化をみとめていない.検索した限りでは,原発性気管気管支ア症としては,本例が最年少であった.結論.基礎疾患のない若年者にも,気管気管支ア症がみられることがある.びまん性気管気管支ア症に対する副作用の少ない有効な治療法の開発が望まれる.