著者
田村 肇
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.145-162, 2002-02-28

本研究では,公共図書館の効率性を測るための手法として包絡分析法(Data Envelopment Analysis)を導入し,実際に東京都の市区立図書館の効率性の測定に応用する。効率性は産出最を維持したまま(複数の)投入を同じ割合で削減することが可能であるかどうかによって定義される。投入としては職員数,蔵書冊数,受入資料数,図書館数,奉仕人口を用い,産出としては貸出冊数を用いている。各図書館に関して技術効率得点(CCR効率得点),純粋技術効率得点(BCC効率得点),規模効率得点を求めた。その結果,CCR効率得点で考えた場合,分析の対象となる図書館は平均で80%の効率であることが明らかになった。このことは非効率な図書館が効率的な図書館と同じように運営することができるならば,産出を維持したまま投入を20%削減することが可能であることを意味している。