著者
皆川 公夫 田辺 千絵
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.13-20, 1989-04-30 (Released:2011-01-25)
参考文献数
33
被引用文献数
2 3

未治療あるいは従来の抗てんかん薬では発作抑制が困難であったLennox症候群を中心とする難治性てんかん患児10例にTRH-tartrateを14日間連日筋注にて投与し, その短期効果を検討した。てんかん発作の抑制に関しては10例中8例に有効で, 5例には完全抑制が得られた。発作抑制効果は4~10日で発現した。脳波所見は10例中6例に改善がみられ, 4例ではてんかん放電が消失した。とくに, Lennox症候群では5例中3例に発作の完全抑制とてんかん放電の消失がみられ, 有効率が高かった。また, 全例に種々の程度の精神活動性の向上が認められたが, 重篤な副作用はみられず, 一部の乳児例に嘔吐, 発熱, irritabilityの増強が一過性に出現したのみであった。