著者
杉浦 千登勢 呉 博子 田辺 文子 汐田 まどか 前垣 義弘 大野 耕策
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.294-298, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
20

【目的】けいれん重積型急性脳症に伴う神経心理学的後遺症の臨床的特徴を明らかにする.  【方法】本症8例の臨床経過を後方視的に検討した.  【結果】全例に運動麻痺はなかった. 亜急性期に5例で不随意運動が出現し, 4例は一過性であった. 5例で口唇傾向, 6例で左半側空間無視が一過性に出現した. 慢性期以降では, 独歩可能となった7例中6例で歩容の不安定性, 7例で注意障害, 7例で対人技能面の問題, 2例で感情失禁が持続していた. 頭部画像所見では, 一過性症状の出現期に皮質下病変, 慢性期持続症状の出現期に大脳皮質萎縮所見を認めた.  【結論】これらの臨床的特徴を把握することは, 適切なリハビリテーションを行ううえで有用である.