著者
田邨 優人 中島 耕太 山本 昌生 前田 宗則
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2017-OS-141, no.22, pp.1-6, 2017-07-19

ハードウェアの進歩に伴い,従来よりも大幅に低レイテンシな記憶装置やインターコネクタが登場している.計算機環境のさらなる高性能化,大規模化が求められる昨今では,今後これらのデバイスが主流になると考えられるが,大部分の計算機システムではその高速性を活かせない場合が多い.その一つの原因としてカーネル内でデバイスからの応答の検知にハードウェア割り込みを使用していることが挙げられる.性能が重要視される HPC 分野などではハードウェア割り込みよりも高速にデバイスからの応答検知を行うために polling という手法が用いられる.しかし polling は CPU リソースを占有してしまうという特性から汎用的な計算機システムには積極的に用いられることはなかった.そこで本研究では CPU リソースを管理しながらカーネル内で polling を行うための polling idle ドライバを提案する.提案手法を NVMe over Fabrics に実装して評価を行ったところ,最大 47.1% のレイテンシ削減効果,最大 77.3% の iops 向上を確認し,また iops の上限値が従来から 40.2% 向上したことを確認した.
著者
前田 宗則 田邨 優人 松尾 勇気 佐藤 充 中島 耕太
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2016-ARC-221, no.29, pp.1-5, 2016-08-01

ユーザ空間から直接にハードウェアをボーリングするスレッドを立ち上げ,I/O リクエストに即時応答することで低レイテンシと高スループットを両立するカーネルバイパス型ソフトウェアアーキテクチャが注目されている.カーネルバイパス方式では,スレッド間の排他処理や実行割り当ては,性能に影響するため繊密な設計が必要とされる.これまでに我々は,低レイテンシなスレッド待ち合わせ処理を軽量スレッドとボーリングの組み合わせで実現する方式を提案している.本稿では,軽量スレッドと高速待ち合わせ機構をカーネルバイパス型アーキテクチャの一方式である DPDK に適用することで性能向上を実現した.