著者
大島 光昭 長友 武志 窪田 拓男 田野 仁 岡島 毅 佳山 良正
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.396-401, 1988-03-20
被引用文献数
2

1986年4月17日刈り取りの生育期のイタリアンライグラスから天日乾草およびサイレージを調製するとともに,これを破砕後,生重の50%を脱汁して得た搾汁粕(プレスケーキ)からも同様の方法で乾草およびサイレージを調製し,それらの栄養価をヤギによる4×4のラテン方格法で比較した。天候不順により,乾燥に5日を要した。サイレージ品質は,いずれも優れていた。プレスケーキの一般成分組成は原料草に比し粗繊維が多く,他の成分が少なかった。粗蛋白質,粗脂肪およびNFEの消化率は,サイレージよりも乾草で,また原料草よりもプレスケーキで低かった。そしてこれらの差が,乾物および有機物の消化率やTDNおよび可消化エネルギー含量に反映された。粗繊維の消化率は,飼料間に有意差が認められなかった。ヤギの窒素蓄積率は,原料草の乾草およびサイレージとプレスケーキサイレージの間に差がなく,プレスケーキ乾草のみが劣った。以上の結果は,プレスケーキを貯蔵する場合,悪条件下で天日乾燥すると著しい栄養価の低下を招くが,サイレージではその程度が低く,プレスケーキサイレージの消化性は原料草乾草と等しく,その窒素のヤギによる利用性は原料草乾草のみならず,消化率でやや優る原料草サイレージとも変わらぬことを示している。よって,プレスケーキと原料草の栄養価を比較する場合,貯蔵法をも考慮に入れる必要があろう。