著者
Layug Dolores V. 大島 光昭 OSTROWSKI-MEISSNER Henry T. 横田 浩臣
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.410-419, 1995-01-31
参考文献数
30
被引用文献数
2

アルファルファ(Medicago Saliva L., cv. Natsuwakaba)を収穫後ただちに細断し抗酸化剤とよく混合したのち圧搾し,搾汁を得た。用いた抗酸化剤はエトキシキン,異性重亜硫酸ソーダ,ブチル化ハイドロキシアニソール(BHA),アスコルビン酸,α-トコフェロールおよび緑茶である。無添加を含めた7種類の搾汁を蒸気により瞬時に90℃に熟し,生じた凝固物を連続遠心機で分離し,凍結乾燥した。この乾燥物を以後,緑葉抽出物と呼ぶ。各緑葉抽出物を100ml容の透明瓶および褐色瓶に1本当たり3gいれ,栓をするに先立ち,各々の半数に窒素ガスを充満させた。透明および褐色瓶を28℃に保ちつつ蛍光灯により12時間照明した場合,および暗黒下-18℃で貯蔵した場合のカロチノイド含量の推移を60週間にわたって調査した。暗黒下-18℃では,抗酸化剤に関係なくキサントフィルはよく保護されたが,β-カロチンの長期貯蔵には抗酸化剤の助けを必要とし,エトキシキンの添加によりほぼ完全に保護された。照明下28℃では,キサントフィルおよびβ-カロチンとも減少したが,エトキシキン処理をし褐色瓶に蓄えることによりその程度は著しく緩和され,60週後でも初期値の2/3以上が保たれた。容器の窒素ガスによる充満は,緑葉抽出物貯蔵中のカロチノイドの保護に対し効果がなかった。BHA,異性重亜硫酸ソーダおよび緑茶も短期間の貯蔵に対しては有効だった。しかしα-トコフェロールおよびアスコルビン酸には効果が認められなかった。以上の結果,原料草にエトキシキンを添加し調製後-18℃の暗室中で貯蔵した緑葉抽出物中のカロチノイドは,60週間にわたる貯蔵期間中安定であることが判明した。原料草へのエトキシキン添加は,抽出物中への蛋白質の回収に対しても有効だった。
著者
曹 力曼 後藤 正和 大島 光昭
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.583-587, 2002-02-15
被引用文献数
5

アルファルファ(Medicago sativa L., 品種 : ディピー)6番草(1996年10月17日刈取り)と1番草(1997年4月14日刈取り)のサイレージ発酵特性を, 無予乾ならびに予乾処理によって水分含量をそれぞれ80%, 74%, 69%, 64%と83%, 71%, 64%, 52%に調整し, 無添加(対照区, C)区, 牧草付着乳酸菌培養液(FJLB)添加区, シュクロース(S)添加区, 牧草付着乳酸菌培養液+シュクロース(FJLB+S)添加区の4処理間で比較検討した。アルファルファに付着する乳酸菌数は6番草と1番草との間で有意な差は認められなかったが, 6番草のほうが有意にサイレージ発酵品質に優れていた(P<0.05)。とくに, 乾物含量29%よりも小さい場合の無添加サイレージでは, 乳酸含量, 酢酸含量, 乳酸/酢酸比が高く, 一方, 全窒素中のアンモニア態窒素含量は低く, したがってサイレージpH値も低くなった。FJLB添加は, 6番草の2種類の高水分サイレージを除くすべてのサイレージにおいて, 有意に(P<0.05)乳酸発酵を促進するのが観察された。また, 酢酸含量やアンモニア濃度の著しい減少に示されるように, FJLB添加や予乾による酪酸発酵の抑制効果は6番草よりも1番草において顕著であった。6番草のサイレージ品質は, FJLBやSの単独添加処理よりもFJLBとSの複合処理による改善効果が著しいことが観察された。以上の結果に基づいて, FJLB添加によるアルファルファサイレージの発酵品質の改善効果ならびにその刈取り番草による差異について論議する。
著者
大島 光昭 長友 武志 窪田 拓男 田野 仁 岡島 毅 佳山 良正
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.396-401, 1988-03-20
被引用文献数
2

1986年4月17日刈り取りの生育期のイタリアンライグラスから天日乾草およびサイレージを調製するとともに,これを破砕後,生重の50%を脱汁して得た搾汁粕(プレスケーキ)からも同様の方法で乾草およびサイレージを調製し,それらの栄養価をヤギによる4×4のラテン方格法で比較した。天候不順により,乾燥に5日を要した。サイレージ品質は,いずれも優れていた。プレスケーキの一般成分組成は原料草に比し粗繊維が多く,他の成分が少なかった。粗蛋白質,粗脂肪およびNFEの消化率は,サイレージよりも乾草で,また原料草よりもプレスケーキで低かった。そしてこれらの差が,乾物および有機物の消化率やTDNおよび可消化エネルギー含量に反映された。粗繊維の消化率は,飼料間に有意差が認められなかった。ヤギの窒素蓄積率は,原料草の乾草およびサイレージとプレスケーキサイレージの間に差がなく,プレスケーキ乾草のみが劣った。以上の結果は,プレスケーキを貯蔵する場合,悪条件下で天日乾燥すると著しい栄養価の低下を招くが,サイレージではその程度が低く,プレスケーキサイレージの消化性は原料草乾草と等しく,その窒素のヤギによる利用性は原料草乾草のみならず,消化率でやや優る原料草サイレージとも変わらぬことを示している。よって,プレスケーキと原料草の栄養価を比較する場合,貯蔵法をも考慮に入れる必要があろう。