著者
甲斐 彰 斎藤 幸雄
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00055, (Released:2023-10-31)

炊飯米から製造するペーストについて, 一般的な高速せん断加工とは異なる押出加工による製造方法を試みた. 従来は困難であった加工直後の米ゲルの物性評価に, 塗装や油脂の調整などで用いる簡易的な工業計測の適用を試みた. そして, 次の結果が得られた. (1) ポートホールダイスを用いて均質なペーストを短時間に得ることができる. (2) ポートチャンバー部で剪断力を与えることにより, 炊飯米の硬い部分もクリアランスより小さい粒子に破砕することができる. (3) コンテナ径およびダイスの仕様により, 人力によるペースト加工が可能となる. (4) 必要荷重が大きくなるが, 硬めに炊飯した米でもペースト加工が可能である. (5) ペーストに含まれている粒子の大きさの評価にグラインドゲージが利用でき, 加工直後の高温条件であっても迅速に評価ができる. (6) ペーストの柔らかさの評価にちょう度計が利用でき, 加工直後の高温条件であっても迅速に評価ができる. (7) 炊飯米から加工したペーストには肉眼で判別可能な白い塊が見られ, これは触感では粒状には感じない程度に容易に塑性変形する.