著者
吉村 ミツ 村里 英樹 甲斐 民子 黒宮 明 横山 清子 八村 広三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.779-788, 2004-03-01
被引用文献数
24

本研究では,日本舞踊動作を解析して,舞踊家が師匠の技を模倣している程度,すなわち上達度を評価している.利用データは,赤外線追跡装置で取得した日本舞踊動作の3次元時系列である.筆者らの以前の研究では,このデータから注目動作部分を抽出するために,移動と回転に応じて動く3種類の動座標系を用いた.本研究ではその動座標系を改善した上で,移動,回転,向き補正,腰部揺動を同時に考慮した動座標系を考え,それを1回の変換で実現するアルゴリズムを考案している.筆者らは以前の研究で,舞踊家の上達度を客観的・定量的に表す指標として,動作の安定度と周波数特性に関する指標を定義した.本研究ではこれとは別の側面として,移動量に関する指標とガボール変換を利用したスペクトル成分の指標を定義している.ある流派の師匠と,その師匠から学んだ経験年数,性別が異なる4人の舞踊家,合わせて5人に舞踊実験を行ってもらい,注目動作の抽出と,その抽出結果を用いた指標の測定を行い,提案指標に基づいて上達度の評価を試みている.抽出が十分な精度で実現していて,指標が上達度や性による違いを表していることを確かめている.