著者
関口 浩 麦谷 荘一 金子 佳雄 金丸 仁 錦野 光浩 甲田 安二郎 山崎 晃 増田 君枝 藪崎 光子 沢田 たつ江 松山 由美 塚本 よし子 深堀 光子 石神 弘美
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.451-456, 1987

われわれは複合臓器不全をきたした重症型急性膵炎の2症例に対して血漿交換療法を施行したので, その問題点を検討する.<br>いずれも急性腹症として緊急手術を受け急性膵炎と診断され, 手術後に肝障害, 消化管出血, 呼吸器障害, 精神症状等が出現し重篤な経過をとったが, 症例1は第2病日より腎不全に透析を開始, 第13日より肝障害とくに高ビリルビン血症に対し計20回の血漿交換を併用, 11ヵ月後軽快退院した. 症例2は第2病日より透析を, さらに第4病日より計3回の血漿交換を施行, 一時小康状態であったが創部からの大出血で第54病日に死亡した.<br>血漿交換は重症度の改善, 血中からの膵酵素の除去に有効とされており, 早期にさらに継続して行うことが効果的であると思われた.