著者
山崎 晃男
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.221-232, 2009-01-31

音楽が感情を表現したり喚起したりするという考えは,時代や洋の東西を問わず,広く行き渡ったものである。実際,多くの哲学者や音楽理論家,科学者がそのような考えに対して,繰り返し支持を表明している。心理学においても,音楽と感情の関係について数多くの研究がなされている。本論文では,そうした音楽と感情の関係についての心理学的研究を以下の三つの研究領域に分類した上で,各々について概観している。ここで分類を行った三つの研究領域とは,音楽の感情的性格についての研究,音楽による感情喚起についての研究,音楽を通した感情的コミュニケーションの研究である。音楽の感情的性格についての研究とは,楽曲に対して聴取者が知覚する感情的な性格についての研究であり,一方,音楽による感情喚起についての研究とは,楽曲が聴取者に引き起こす感情的反応についての研究である。音楽を通した感情的コミュニケーションについての研究とは,演奏者から聴取者への感情的意図の伝達についての研究である。本論文では,これらについて概観した後,各研究領域が抱える研究上の課題について論じている。
著者
山崎 晃男
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.25-28, 2016-09-30 (Released:2016-10-25)
参考文献数
11

Music often moves us and provides great pleasure. The origins of this ability of music remain a mystery. Recently, an increasing number of studies have proposed evolutionary theories of human musicality, although several researchers deny the adaptive value of music. In this paper, the origins of the pleasure that music provides were discussed in terms of human evolution and cultural adaptation. A possibility in which both evolutionary and cultural adaptation resulted in the pleasure of music was shown. Next, the relationship between music and visual stimuli was focused on. Owing to the development of music devices and the Internet, music is heard increasingly with visual stimuli, like background music in everyday life, films, drama, dance, computer games, music videos, etc. Based on the author's findings on the cross-modal effects between music and visual stimuli, the pleasure of listening to music with visual stimuli was discussed. It was emphasized that the meaning of music is strengthened, changed, and multi-layered by visual stimuli when it is enjoyed with the visual stimuli.
著者
山崎 晃嗣 竹村 豊 有馬 智之 益海 大樹 長井 恵 井上 徳浩 杉本 圭相
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.359-365, 2020-08-05 (Released:2020-08-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

【背景】食物経口負荷試験(OFC)の方法は各施設で総負荷量や摂取回数,摂取間隔を設定しており,この違いが結果に影響を与えることが考えられる.【対象・方法】卵白特異的IgE抗体価がクラス3,4の児に対し,20分加熱ゆで卵白8gを総負荷量として実施したOFCを対象とし,60分間隔2回漸増法と30分間隔3回漸増法を比較してOFCの陽性率,誘発症状時の陽性閾値量,誘発症状時の重症度等を検討した.【結果】2回法,3回法でOFCの陽性率はそれぞれ21例(30.4%),24例(38.6%)(P=0.72),誘発症状時の陽性閾値量は,8g,3gと統計学的有意差はなく(P=0.76),両法間とも認められた症状は全てmodified Sampson分類のGradeIII以下であった.統計学的な有意差は無かったが,2回法でのみ神経症状と循環器症状が出現した.【結論】卵白IgEクラス3,4の児に対する20分加熱卵白8gのOFCにおいて,2回法と3回法は安全性と有効性に有意差は認められない.
著者
源馬 均 佐藤 篤彦 千田 金吾 岡野 昌彦 岩田 政敏 安田 和雅 谷口 正実 山崎 晃 立田 良廣 西村 和子
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.710-717, 1991-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24

超音波加湿器による過敏性肺炎の2例を報告した. 両例とも環境誘発試験陽性であり, 同試験後早期のBALは好中球増多を示し, 第1例では病理組織学的にも胞隔内に好中球浸潤が認められた. 第1例では加湿器の水の培養を施行しえなかったが, 皮内反応, 沈降抗体, 吸入試験の成績から Aspergillus fumigatus が起因抗原と考えられた. 第2例では水の培養および沈隆抗体から抗原として Acremonium が疑われた. 従来, 加湿器肺の抗原として好熱性微生物が重視されていたが, 超音波加湿器による本報告例ではその関与を示唆する所見は得られなかったことから, 本症の抗原検索にあたっては加湿器の機構にも留意すべきと考えられた.
著者
小津 草太郎 木原 一郎 太治 大輔 若林 紀乃 山崎 晃 千代 章一郎 關 浩和
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属幼年教育研究施設
雑誌
幼年教育研究年報 (ISSN:03883078)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.13-22, 2007-06-07

Recently, increasing the activities for city planning or renovation that citizen participated in the world. In this study, focus on Hiroshima ECO-PEACE-MAP activity, the one of Japanese GREENMAP proposed by Wendy Brawer, researched developmental changes of schoolchildren's adjective images for their life city and corresponded to their icons use in environment map design. The children in 4th and 5th grade completed a questionnaire composed of 18 pairs of adjectives such as noisy-quiet or dark-light. Their profiles of image in part changed through 4th-5th or before-after activities, and its might be reflected cognitional development for the components of city environment as their icons use.
著者
芝崎 美和 山崎 晃
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.256-267, 2016 (Released:2016-08-08)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

本研究の目的は, 児童の謝罪が幼児と同様に罪悪感によって規定されるか否かを明らかにし, 違反発覚の有無という点で異なる約束違反場面と欺き場面での加害児の謝罪についての児童の予測が罪悪感認識の程度と関連するか否かについて明らかにすることであった。調査対象者は小学2年生87名, 4年生86名, 6年生79名であった。分析の結果, 以下の3点が明らかになった。第1に, 所有物の持ち去り場面で加害児の行動として謝罪を推測した者は罪悪感低群よりも高群で多く, 反対に自己中心的方略を推測した者は罪悪感高群よりも低群で多かった。第2に, 約束違反場面では加害児の行動予測に罪悪感認識の高低による違いはみられず, 加害児の罪悪感の程度にかかわらず謝罪が多く予測された。第3に, 欺き場面では, 罪悪感認識の高低によって謝罪を推測する程度には違いがみられなかったが, 罪悪感低群では自己中心的方略を推測した者が多く,他方,罪悪感高群では, 向社会的方略を推測した者が多かった。以上のことから, 児童の謝罪が罪悪感に規定される程度は違反の種類によって異なり, 所有物の持ち去り場面での児童の謝罪は罪悪感と関連するが, 約束違反場面での謝罪は罪悪感と関係しておらず, 違反が発覚しない欺き場面では, 罪悪感は謝罪ではなく向社会的方略を促すことが示された。
著者
山崎 晃男 Teruo YAMASAKI
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.8, pp.221-232, 2009-01-31

音楽が感情を表現したり喚起したりするという考えは,時代や洋の東西を問わず,広く行き渡っ たものである。実際,多くの哲学者や音楽理論家,科学者がそのような考えに対して,繰り返し支持 を表明している。心理学においても,音楽と感情の関係について数多くの研究がなされている。本論 文では,そうした音楽と感情の関係についての心理学的研究を以下の三つの研究領域に分類した上で, 各々について概観しているO ここで分類を行った三つの研究領域とは,音楽の感情的性格についての 研究,音楽による感情喚起についての研究,音楽を通した感情的コミュニケーションの研究である。 音楽の感情的性格についての研究とは,楽曲に対して聴取者が知覚する感情的な性格についての研究 であり,一方,音楽による感情喚起についての研究とは,楽曲が聴取者に引き起こす感情的反応につ いての研究である。音楽を通した感情的コミュニケーションについての研究とは,演奏者から聴取者 への感情的意図の伝達についての研究である。本論文では, これらについて概観した後,各研究領域 が抱える研究上の課題について論じている。
著者
小川 容子 山崎晃男 桑野 園子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.40, pp.103-108, 2002-05-18

本論文は,駅で流されている発車サイン音楽が,電車利用者にどのような印象を与えているのかフィールド調査及びイメージ調査によって明らかにしたものである。回答者は18歳から58歳までの26名。山手線を一駅ずつ乗・降りしながら,各プラットホームで,発車サイン音楽に関する質問,形容詞印象評定と駅全体の印象に関する各質問に回答させ,併せて2ヶ月後に,同じ回答者に駅のイメージ調査をおこなった。その結果,各駅で流されている発車音楽サインのふさわしい度にはそれほど違いがみられないが,発車サイン音楽を含めたサイン音全体に対する不満が「わずらわしさ」や「耳障りである」といった印象を形成していることが分かった。2つの調査でおこなった「形容詞を用いた印象評定」では,迫力性,美的,金属製の3因子が同様に抽出され,実際の乗り降りをおこなっている時の印象とイメージとして思い浮かべる印象の間には,美的因子に関する相関が見られた。The purpose of the present study is to investigate people's impressions to signal music, which rings at platforms. Two kinds of social survey were designed to investigate the subjects' impressions using Semantic Differential and the results were compared with those of laboratory experiments. Three main results were observed: (a) All responses to the signal music could be divided into the same 3 main factors: powerful, pleasant and metallic. (b) There was a correlation on the pleasant factor between social survey and laboratory experiment. (c) Similar feelings (metallic or pleasant) for 6 kinds of signal music were evoked in both conditions: social survey and laboratory experiment.
著者
山崎 晃男
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.73-81, 2013-01-31

音楽と絵画が同時に提示された時の音楽と絵画の相互作用について検討した。実験1では、25名の参加者が15種類ずつの音楽刺激と絵画刺激に対する印象評定をおこない、できるだけ印象がばらけるとともに音楽と絵画の印象の強さが揃うようにという基準で、実験者が5種類ずつの音楽刺激と絵画刺激を選択した。実験2では、それらを組み合わせて提示し、実験1に参加した23名の参加者が各刺激の印象評定をおこなった。実験の結果、明暗の印象に関して、音楽と絵画の印象が大きく異なっているときに、音楽の印象に近づく方向に絵画の印象が変化していることが示された。音楽が絵画の印象に与える影響の大きさと絵画が音楽の印象に与える影響の大きさを分散分析によって比較した結果、明暗の印象に関しては音楽の影響の方が絵画の影響よりも有意に大きく、迫力の印象に関しては音楽の影響の方が絵画の影響よりも大きい傾向が見出された。
著者
関口 浩 麦谷 荘一 金子 佳雄 金丸 仁 錦野 光浩 甲田 安二郎 山崎 晃 増田 君枝 藪崎 光子 沢田 たつ江 松山 由美 塚本 よし子 深堀 光子 石神 弘美
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.451-456, 1987

われわれは複合臓器不全をきたした重症型急性膵炎の2症例に対して血漿交換療法を施行したので, その問題点を検討する.<br>いずれも急性腹症として緊急手術を受け急性膵炎と診断され, 手術後に肝障害, 消化管出血, 呼吸器障害, 精神症状等が出現し重篤な経過をとったが, 症例1は第2病日より腎不全に透析を開始, 第13日より肝障害とくに高ビリルビン血症に対し計20回の血漿交換を併用, 11ヵ月後軽快退院した. 症例2は第2病日より透析を, さらに第4病日より計3回の血漿交換を施行, 一時小康状態であったが創部からの大出血で第54病日に死亡した.<br>血漿交換は重症度の改善, 血中からの膵酵素の除去に有効とされており, 早期にさらに継続して行うことが効果的であると思われた.
著者
白橋宏一郎 山崎晃資編
出版者
星和書店
巻号頁・発行日
1985
著者
山崎 晃司 坪田 敏男 小池 伸介 清水 慶子 正木 隆 郡 麻里 小坂井 千夏 中島 亜美 根本 唯
出版者
ミュージアムパーク茨城県自然博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ツキノワグマの行動生態研究の多くは,秋の食欲亢進期に行われており,春から夏の行動はよく分かっていない。本研究では,各種新型機材を利用し,冬眠明け後の春から夏の野生グマの生理状態の把握と共に,その行動生態の解明を試みた。その結果,夏期には活動量,体温,心拍計共に低下することを確かめた。春は低繊維,高タンパクの新葉が利用できたが,その期間は極めて短かった。夏は食物の欠乏期として捉えられ,夏眠のような生理状態に入ることでエネルギー消費を防いでいたと考えられた。本研究は,秋の堅果結実の多寡だけでは説明できていない,本種の夏の人里への出没機構の解明にも役立つことが期待できる。
著者
山崎 晃
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.185-191, 1985-10-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
18
被引用文献数
3 4

To clarify the four processing stages in the Stroop task (input, decision, response selection, and output), and to examine on which stage or stages the interference occurs, seven undergraduates were used as subjects in a color-naming task with color names, words strongly associated with color, words weakly associated with color, a neutral word, and “xxx” as control stimulus. Color-patch pieces were also used to measure the operant level of reaction time. Main results were as follows: 1. On the congruent trials, the response time was shorter for color names than for the neutral word, control word, and words with weak association. 2. On the incongruent trials, the response time was longer for color names than for the neutral word, control word, and words with weak and strong association. Moreover, the interaction between pre-exposure duration and word conditions was significant; the difference of response time due to word conditions as significant when the pre-exposure duration was short, while it was not significant when the duration was long. 3. The neutral word and the control word gave similar response time, which was longer than that for color-patch pieces. From these results it is concluded that the interference in the Stroop task is most likely to occur on the decision and the output stages.
著者
藤木 大介 関口 道彦 森田 志保 高橋 佳子 倉田 久美子 山崎 晃
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.169-179, 2010 (Released:2010-10-22)
参考文献数
20

In 2004, Ninio suggested that the process of comprehending noun phrases such as “black shoes” included two steps: comprehending the noun “shoes” and the addition of the attribution “black.” Based on this assumption, Ninio predicted that the developmental process of comprehending noun phrases must progress through a phase in which children understood only the noun. She demonstrated the validity of her assumption through experiments conducted in Hebrew. However, her results were confounded by the word order of the noun phrase in the Hebrew language, in which the noun is the first word and the headword. In this study, we used Japanese phrases to eliminate the artifacts of the above study, because in the Japanese language, the noun is neither the first word in a noun phrase, nor the headword in an adjective phrase. Results indicated that also in Japanese, there is a developmental phase in which children comprehended only the noun in the noun phrases, which confirmed Ninio's assumption. However, there was also a phase in which children comprehended only the noun in the adjective phrases. These results cast doubt on Ninio's suggestion that the process of comprehending the noun phrase includes two steps, or that this two-step process results in a phase in which children comprehend phrases based only on the noun. We think current results relate the idea of noun dominance in children's learning of new words as described by Gentner in 1982, and this dominance influences children's attention by directing it to the noun when comprehending phrases.
著者
芝崎 美和 山崎 晃
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.256-267, 2016
被引用文献数
1

本研究の目的は, 児童の謝罪が幼児と同様に罪悪感によって規定されるか否かを明らかにし, 違反発覚の有無という点で異なる約束違反場面と欺き場面での加害児の謝罪についての児童の予測が罪悪感認識の程度と関連するか否かについて明らかにすることであった。調査対象者は小学2年生87名, 4年生86名, 6年生79名であった。分析の結果, 以下の3点が明らかになった。第1に, 所有物の持ち去り場面で加害児の行動として謝罪を推測した者は罪悪感低群よりも高群で多く, 反対に自己中心的方略を推測した者は罪悪感高群よりも低群で多かった。第2に, 約束違反場面では加害児の行動予測に罪悪感認識の高低による違いはみられず, 加害児の罪悪感の程度にかかわらず謝罪が多く予測された。第3に, 欺き場面では, 罪悪感認識の高低によって謝罪を推測する程度には違いがみられなかったが, 罪悪感低群では自己中心的方略を推測した者が多く,他方,罪悪感高群では, 向社会的方略を推測した者が多かった。以上のことから, 児童の謝罪が罪悪感に規定される程度は違反の種類によって異なり, 所有物の持ち去り場面での児童の謝罪は罪悪感と関連するが, 約束違反場面での謝罪は罪悪感と関係しておらず, 違反が発覚しない欺き場面では, 罪悪感は謝罪ではなく向社会的方略を促すことが示された。
著者
益海 大樹 竹村 豊 有馬 智之 長井 恵 山崎 晃嗣 井上 徳浩 竹村 司
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.262-267, 2017 (Released:2017-08-31)
参考文献数
16

エリスリトールは低分子の糖アルコールで, カロリーが極めて低く, 甘味料としての需要が拡大している. 症例は10歳女児. 8歳, 9歳時にアイスクリームなどを摂取後のアナフィラキシー歴を3回有していたが, 原因は不明であった. 10歳時, 公園で遊び, 複数の菓子を摂取後に咽頭痛と乾性咳嗽, 蕁麻疹を認め, 当院外来を受診. 菓子内にはエリスリトールとソルビトールが含まれ, アレルゲンの可能性が考えられた. エリスリトールとソルビトールのプリックテストはともに陰性で, 皮内試験ではエリスリトールのみ陽性であった. 両者の食物経口負荷試験を施行し, ソルビトールは陰性, エリスリトールは合計1.7g摂取し30分後に皮膚・呼吸器症状を認め, アナフィラキシーを呈した. のちに実施した好塩基球活性化試験 (BAT) では反応を認めなかった. 近年, エリスリトールによる即時型食物アレルギーの報告例が増加している. 小児で摂取頻度の高い菓子に含有されていることがあり注意を要する. 本症例の糖類摂取における食事指導に有用であった.
著者
小池 伸介 葛西 真輔 後藤 優介 山崎 晃司 古林 賢恒
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.279-285, 2006-08-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
41
被引用文献数
7 7

ツキノワグマの糞に飛来する食糞性コガネムシ (以下糞虫) を山梨県芦川村および東京都奥多摩町で調査した。18種が確認された。いずれも広域に分布し, 他の動物の糞でも確認されている種であった。種により季節消長は異なり, 5種は春から秋にかけて成虫が出現したが, 13種は特定の季節のみ成虫の出現が確認された。日周消長は, トラップで採集された10種のうち5種は昼間中心に, 4種は夜間中心に飛来する種, 1種は季節的に活動時間帯が変化する種であった。糞虫の活動場所は, 8種はdwellerで, 糞の表面および糞の内部でのみ確認された。10種はtunnellerで, 糞下部の土壌内からも糞とともに確認された。Tunnellerは, 産卵期以外も, 糞とともに土壌内から確認された。ツキノワグマの糞に数多く飛来した, コブマルエンマコガネ, クロマルエンマコガネ, マエカドコエンマコガネはいずれも, 昼間中心に飛来し, tunnellerタイプの糞虫であった。