著者
甲田 紫乃
出版者
公益財団法人 集団力学研究所
雑誌
集団力学 (ISSN:21872872)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.89-105, 2012-12-28 (Released:2013-02-10)
参考文献数
18

環境意識の高まりから、昨今の企業には、ますます環境に配慮した経営が求められている。コンビニエンス・ストアもその例外ではなく、コンビニエンス・ストアから大量に排出されるゴミは批判の的となっている。そもそもコンビニエンス・ストアは、その名称が示すように、「便利な店」である。しかし、その利便性そのものが、コンビニエンス・ストアにおける環境問題を引き起こしている元凶ではないだろうか。 本論文は、筆者がコンビニエンス・ストアで働きながら観察した事実をもとに、コンビニエンス・ストアの利便性が資源浪費を引き起こす構造的な問題を考察したものである。その結果、①「一応は環境への配慮を示しつつも本音では利潤追求を志向する本部と、販売機会の損失を回避すべく資源を浪費する加盟店」という「本部-加盟店」関係、②「飽くなき利便性を求める客とそれに全力で応えようとする店舗」という「客-店舗」関係という 2 点からなる「資源浪費の構造」が明らかになった。