著者
鵜沼 辰哉 野口 浩介 澤口 小有美 長谷川 夏樹 町口 裕二
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.331-339, 2013-12-20 (Released:2015-04-02)
参考文献数
39

フロック状のマナマコ用配合飼料を開発した。海藻粉末と市販のナマコ用配合飼料を混合し,ここに約2.4倍量の無機成分(珪藻土とゼオライト)を加え,海藻粉末に含まれるアルギン酸を粘結剤として攪拌しながら塩化カルシウムでゲル化することにより,フロック状に粗い粒子の集合した飼料を調製した。この試験飼料を体長約7.8 mm の稚ナマコに29日間与えたところ,生残率,日間成長率とも海藻粉末区,市販ナマコ用配合飼料区よりも有意に高かった。また,体重約96 g の親ナマコに42日間与えたところ,日間成長率は市販ナマコ用配合飼料区よりも有意に高く,生殖巣指数も高い傾向を示し,組織学的観察から卵形成がより進んだと考えられた。これらの結果から,本飼料は稚ナマコ育成,採卵用親ナマコ養成の双方に有効であると考えられた。
著者
町口 裕二 高島 国男 林 浩之 北村 等
出版者
水産増殖談話会
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.323-331, 2012 (Released:2013-10-08)

道東海域に多産する海藻6種と海草1種を餌料としたときの,エゾバフンウニ生殖巣の発達に及ぼす影響を室内飼育実験によって調べた。ウニは殻径45mm以上のものを用い,2カ月の絶食ののち,自然水温下で75日間の給餌飼育を行った。ウニの生殖巣指数は,ナガコンブ,スジメ,アイヌワカメおよびアナアオサで高く,クシベニヒバ,カレキグサ,スガモで低く,とくにカレキグサでは生殖巣の発達は見られなかった。保存餌料(乾燥ナガコンブ,冷凍アナアオサ)を与えたウニの生殖巣指数は,それらの生鮮藻体を与えたときより低かった。ナガコンブ,乾燥ナガコンブ,冷凍アナアオサ,スガモを餌料として,給餌期間の影響を比較した結果,生殖巣指数は短期間飼育(189日間)より長期間飼育(249日間)で高くなった。食味試験では,短期間飼育より長期間飼育で高い評価(ナガコンブが最も高評価)であったが,乾燥ナガコンブでは長期間飼育でも苦みが改善されなかった。