- 著者
-
畑中 知笑美
間瀬 広樹
- 出版者
- 日本緩和医療学会
- 雑誌
- Palliative Care Research (ISSN:18805302)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.1, pp.501-504, 2014 (Released:2014-02-17)
- 参考文献数
- 9
【緒言】オキサリプラチンは, 結腸・直腸がんに対して有効な白金系抗がん剤である. しかしながら, 半数近くの患者に急性および蓄積性の末梢神経障害が生じ, 日常生活に及ぼす影響は甚大である. 末梢神経障害への対処は重要であるにもかかわらず, いまだ確立された方法はない. 【症例】60歳代, 女性. 再発大腸がんに対してSOX療法が施行されたが, 治療当初より末梢神経障害が発現した. ピリドキサールリン酸エステル水和物や牛車腎気丸を継続服用したが無効であったため, 患部へ1.35% l-メントール含有軟膏を1日3回, 1回につきおおむね0.5~1 gを両足裏に塗布するよう, 薬局で服薬指導した. 塗布開始当日より症状のすみやかな消失が認められ, その後SOX療法終了までの1カ月間塗布を継続したが症状の再発はみられなかった. 【結論】1.35% l-メントール含有軟膏の塗布は, オキサリプラチン誘導末梢神経障害の改善に効果的である可能性が示唆された.