- 著者
-
田尻 絵里
重黒木 彩乃
畑本 陽一
吉村 英一
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.5, pp.269-279, 2020 (Released:2020-05-29)
- 参考文献数
- 30
異なるエネルギーの清涼飲料水の摂取が朝食と1日の食事摂取量に及ぼす影響, および習慣的な身体活動と補償効果の関連を検討することを目的とし, 無作為クロスオーバー試験 (エネルギーのある甘味料入り清涼飲料水 ; sweetener群 (以下, S群) ; 225 kcal vs. エネルギーのない人工甘味料入り清涼飲料水 ; artificial sweetener群 (以下, AS群) ; 0 kcal) を実施した. 対象者は月経後2週間以内の女性16名 (平均21.6±0.5歳) とした. 飲料摂取前, 摂取後0, 20, 40, 60, 120, 150分に血糖測定と主観的食欲を評価し, 飲料摂取後60分に自由摂食の朝食を提供した. 150分以降は自由生活とし, その後1日のエネルギー摂取量を評価した. さらに, 対象者は実験日を除く任意の1週間加速度計付活動量計を装着し習慣的な1日の身体活動を評価した. AS群はS群と比較して朝食摂取前までの血糖値は有意に低かった (p<0.010) が, 朝食後の飲料摂取後120分では有意に高かった (p=0.004). 主観的食欲は飲料摂取後60分のときAS群が有意に高かった (p=0.034). 一方, 飲料のエネルギーを含む朝食及び1日の総エネルギー摂取量はAS群よりS群で有意に高く (p<0.010), エネルギー摂取量の補償効果は認められなかった. 習慣的な身体活動量と補償効果の間には有意な相関関係は認められなかった. 本研究より, 異なるエネルギーの清涼飲料水の摂取は血糖値と主観的食欲に影響するが, その後の食事摂取量には影響しないことが示唆された.