著者
畔脇 良逸
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.694-703, 1985 (Released:2010-10-27)
参考文献数
40

歯垢中には唾液に比べて, 高濃度のFが含まれていることが報告されている。しかし, そのFの存在様式や動態についての研究は少ない。そこで, 小・中学生 (7~15歳) を対象とし, 歯垢中のF濃度の測定を行った。また, 歯垢Fの存在様式の一端を解明する目的から, CaならびにPiの測定を併せて実施した。その結果, 歯垢のF, CaおよびPi濃度は, 小学生に比べて中学生の方がそれぞれ有意に高い値を示した (P<0.05~0.01)。FとCa (r=0.76, P<0.001) およびCaとPi (r=0.85, P<0.001) の間には, それぞれ高度に有意な正の相関関係が得られた。なお, FとPiの間にも正の相関性 (r=0.65, P<0.001) が認められたが, 偏相関分析によりCa因子の影響を除外すると, 両者間には統計学的有意な相関性は得られなかった。一方, 歯垢F濃度は歯垢Ca/Pi比との間に統計学的に有意な正相関を示した (r=0.53, P<0.001)。また, 歯垢F濃度は歯垢重量と負の相関関係にあることが示された (r=-0.57, P<0.001)。以上のことから, 歯垢のFは一部, 歯垢中のCaまたは不定形のリン酸カルシウムと結合した形で存在していることが強く示唆された。