- 著者
-
畠山 修司
小池 和彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.98, no.7, pp.1733-1741, 2009 (Released:2012-08-02)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
-
1
1
インフルエンザウイルスは日々変化を遂げ,時にダイナミックに変化する.薬剤に対してもまた,年々その特徴を変えながら,確実に耐性を獲得する方向にシフトしているようにみえる.2003年以降,世界的にアマンタジン耐性ウイルスが拡がった.かつて,ノイラミニダーゼ阻害薬耐性ウイルスは低頻度にしか生じず,たとえ生じたとしてもヒトの間で拡がる可能性は低いと考えられていた.しかし,2007/2008年には,オセルタミビル耐性A(H1N1)ウイルス(Aソ連型)が広く流行する結果となった.今後は以前に増して,流行しているウイルスの薬剤耐性に関する情報と,患者のインフルエンザ関連合併症のリスクをもとに,個々的確な治療法を判断する必要がある.ノイラミニダーゼ阻害薬耐性ウイルスの生物学的特性はまだ十分に解明されておらず,さらなる知見の集積が望まれる.