著者
畠山 悠馬 髙橋 武彦 小笠原 正剛
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.33-40, 2023-03-20 (Released:2023-03-31)
参考文献数
13

スギ粗粉末をリング媒体利用粉砕機で粉砕した粉末は高い酵素糖化性を示すことが知られている。この高い酵素糖化性をもたらす構造的要因は明らかにされているが,粉砕力などの物理的因子と構造変化との関係は十分に明らかとなっていない。本研究ではリング媒体粉砕における物理的因子として,接触応力とせん断角速度を定義した。そして,接触応力とせん断角速度が構造変化に与える影響を調査した。スギ粗粉末の粉砕は接触応力が27 MPaから42MPaの範囲でせん断角速度が147 rad/sから168 rad/sの範囲で実施した。粉砕粉末のメディアン径,セルロース結晶化度(CrI)およびドメインサイズを評価することで接触応力およびせん断角速度との関係を調査した。粉砕粉末のメディアン径は接触応力とせん断角速度に関係なく,凝集によって増加した。接触応力はCrIと正の相関を示し,ドメインサイズとは負の相関を示した。一方で,せん断角速度はCrIとドメインサイズと相関がないことが分かった。