著者
藤田 陸博 番匠 勲 橘 治国 長谷川 和義
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

本研究で対象としたゴルフ場は、1992年調査、1993〜1994年造成期、1995年完成となっている。したがって、本研究の期間内では必ずしも十分な現地測定が出来ない。本研究の内容を、次に示すように分類できる。(1)現地での測定ゴルフ場の造成がどのように水文環境に影響を及ぼすかを直接知るためには、現地での測定が極めて重要である。本研究では、水位計2台、雨量計2台、濁度計1台を5〜11月の期間にわたって現地に設置し、測定を続けてきた。また、月に1度の頻度で現地河川水を採水して水質の調査をしてきた。上述したようにゴルフ場はまだ造成中なので各種の測定値に基づいて明確な結論を出す段階ではないが、河川流出量が若干変化しているようである。(2)理論解析ゴルフ場の造成にともなう流出機構の変化を求めるのに、貯留量〜流出量の関係を検討した。測定値は必ず誤差を伴うので、変化の程度が誤差範囲内のものであるか否かを判断する必要がある。誤差範囲といっても明確な基準があるわけではなく、これまで個人の経験に基づいて判断されてきた。本研究では、流出モデルとして貯留関数法を採用して流出量の確率応答を求めることによって、推定された流出量の信頼限界を得ようとした。流出量の確率密度関数が必要となるが、流出量の1〜4次モーメントを求める理論式を新しく誘導した。また、実測降雨量を解析より、時間単位の小さな降雨量は指数分布で表されることが分かった。降雨量を独立な指数分布に従う不規則関数として、流出量の1〜4次モーメントを得た。得られ主な結果を以下に示す。1.流出量の2〜4次モーメントには、流出モデルのパラメータ、降雨量の2〜4次モーメントの他に降雨量の平均値が関係している。したがって、降雨量の規模ごとに資料を整理する必要がある。定常・非定常の降雨系列について検討した結果、流出量はガンマ分布で近似できることを理論的に明らかにした。