著者
辰巳 健一 中埜渡 丈嘉 三浦 勝巳 成田 隆広 神 和夫 眞柄 泰基 橘 治国
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.257-266, 2002-11-14 (Released:2010-06-15)
参考文献数
14

The Toyohira River, the source for Sapporo's waterworks, receives inflow discharged from mines and hot springs. The concentration of potentially hazardous substances in such inflow is high for some flow regimes, which raises concerns related to water quality management. We conducted a water quality survey during and after rainfall (Aug. 21-24, 2001). Rainfall totaled 79 mm. This report reviews the movement of arsenic identified from its runoff characteristics based on continuous observation of water quality during the rainfall. Dissolved arsenic was found to showpoint-type discharge (distilled) whereby the concentration decreased according to the increase in discharge. Suspended arsenic was found to show a non-point-type (outflow) discharge, as was true for suspended solids. Arsenic stored in thesilt and clay of bottom sediment at normal times is tracted by the turbulent flow that occurs during rainfall, becomes suspended, and flows down in high concentration.
著者
橘 治国
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

北国においては、降雪や積雪の汚染とその自然環境への影響が深刻な社会問題となりつつある。雨と同様に、大気を降下する雪(降雪)にも大気中の微量な有害物質が混入し、さらに地上に積もった雪(積雪)には人間活動によって廃棄されるゴミをはじめさまざまな有害物質が混入し、汚染はさらに進行する。このような汚染した雪は、春先に一度に溶けて、水や土壌環境に影響を及ぼすことになる。実際、雪の汚染による山地湖沼・小河川の富栄養化や都市近郊水域での有機汚濁や微量金属汚染が観察されている。本研究は、上記の認識のもと、水域環境の汚染制御あるいは水資源としての降雪利用という立場から、降雪と積雪の汚染の実態と汚染機構、そして汚染物質の融雪水への輸送(流出)機構を明らかにすることを目的とした。さらに、積雪の汚染制御方法についても検討を試みたものである。結果として、積雪は、大気経由のほか、道路粉塵や生活関連の廃棄物が多量に混入して著しく汚染していること、これらの汚染物質は主に固形物質からなり、これには有機物質、栄養塩そして重金属元素がかなりの濃度で含まれ、環境への影響を無視できない範囲にあることがわかった。汚染機構の特徴として、積雪はそのトラップ機能によって汚染物質が高濃度になること、局所的には道路粉塵の飛散の影響が大きいが、広域的な微細粉塵の拡散による影響も大きいことがわかった。また家庭系の廃棄物の積雪への投棄を無視できないことがわかった。このような汚染した降雪や積雪の融解による水系汚染制御に関しては、汚染物質発生源での発生量削減の努力のほか、除雪対策が密接に関連していることがわかった。汚染雪の分別除雪と処理、雪捨て場での汚染物質の流出防止対策などが望まれる。研究はまだ緒についたばかりである。個々の汚染物質の挙動と環境影響、発生源防止対策の具体化、除雪の効果的な方法などをについて継続して調査する必要がある。
著者
橘 治国
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.254-267, 1993
被引用文献数
2

石狩川は, 1975年8月23日に北海道に上陸した台風6号がもたらした豪雨によって増水し,下流部においては溢水した.筆者は,この洪水期間に石狩川水系内の6地点で水質調査を行い,増水時の水質特性および水質成分の流出機構について考察した.結果は以下のように要約できる.(1)懸濁態成分濃度は流量の増加とともに高くなり,最大値は空知川豊橋でSS4,500mg/1, COD (Cr) SSで266mg/1を観測した.主要無機成分の濃度は,流量の増加とともに減少したが,汚濁関連成分(BOD,硝酸イオンなど)は増水時に増加するなど特異的な変化を示した.(2)増水時においても主要無機イオンの構成には大きな変化はなかった.しかし懸濁物質はシルト・粘土成分の割合が,また有機物質は生物難分解性の割合が高くなるなどの変化が認められた.(3)洪水時の水質成分の流出特性から,水質成分の供給源を無制限供給型(懸濁成分),一定量供給型(主要無機成分),環境一時蓄積型(BOD,溶解性有機物質,硝酸イオン等)に分類できた.(4)洪水期間の水質成分流出負荷量を年間総流出負荷量と比較し,懸濁成分の割合が他の成分より著しく高く,SSでは82.5%に達することを明らかにした.
著者
橘 治国
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.254-267, 1993-09-10 (Released:2009-10-22)
参考文献数
10
被引用文献数
5 2

石狩川は, 1975年8月23日に北海道に上陸した台風6号がもたらした豪雨によって増水し,下流部においては溢水した.筆者は,この洪水期間に石狩川水系内の6地点で水質調査を行い,増水時の水質特性および水質成分の流出機構について考察した.結果は以下のように要約できる.(1)懸濁態成分濃度は流量の増加とともに高くなり,最大値は空知川豊橋でSS4,500mg/1, COD (Cr) SSで266mg/1を観測した.主要無機成分の濃度は,流量の増加とともに減少したが,汚濁関連成分(BOD,硝酸イオンなど)は増水時に増加するなど特異的な変化を示した.(2)増水時においても主要無機イオンの構成には大きな変化はなかった.しかし懸濁物質はシルト・粘土成分の割合が,また有機物質は生物難分解性の割合が高くなるなどの変化が認められた.(3)洪水時の水質成分の流出特性から,水質成分の供給源を無制限供給型(懸濁成分),一定量供給型(主要無機成分),環境一時蓄積型(BOD,溶解性有機物質,硝酸イオン等)に分類できた.(4)洪水期間の水質成分流出負荷量を年間総流出負荷量と比較し,懸濁成分の割合が他の成分より著しく高く,SSでは82.5%に達することを明らかにした.
著者
辰巳 健一 中埜渡 丈嘉 成田 隆広 眞柄 泰基 橘 治国
出版者
Japan Society on Water Environment
雑誌
水環境学会誌 = Journal of Japan Society on Water Environment (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.289-296, 2002-05-10
被引用文献数
1 3

Mine wastewater and hot spring water flow into the Toyohira River, a source of water for Sapporo City. Since the concentrations of components contained in such water change with the flow regime of the river, water quality management is considered a difficult challenge. The authors focused on the dynamic state of arsenic compounds, and found that hot spring water contains these arsenic compounds in dissolved state at high concentrations and that the characteristics of pulled runoff change from point source pollution (dilution pollution) to non point source pollution (runoff load increase pollution) in the flow process of the river. This change seems to closely involve water storage in dams, and we gathered that arsenic as a component of hot spring water entering the Toyohira River accumulates in dam sediment by absorption in silt and clay and that the runoff and re-dissolution of silt and clay at times of high flow rate causes the runoff and return of arsenic to the river. It was revealed that sediment in dams is a potential source of arsenic pollution.
著者
藤田 陸博 番匠 勲 橘 治国 長谷川 和義
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

本研究で対象としたゴルフ場は、1992年調査、1993〜1994年造成期、1995年完成となっている。したがって、本研究の期間内では必ずしも十分な現地測定が出来ない。本研究の内容を、次に示すように分類できる。(1)現地での測定ゴルフ場の造成がどのように水文環境に影響を及ぼすかを直接知るためには、現地での測定が極めて重要である。本研究では、水位計2台、雨量計2台、濁度計1台を5〜11月の期間にわたって現地に設置し、測定を続けてきた。また、月に1度の頻度で現地河川水を採水して水質の調査をしてきた。上述したようにゴルフ場はまだ造成中なので各種の測定値に基づいて明確な結論を出す段階ではないが、河川流出量が若干変化しているようである。(2)理論解析ゴルフ場の造成にともなう流出機構の変化を求めるのに、貯留量〜流出量の関係を検討した。測定値は必ず誤差を伴うので、変化の程度が誤差範囲内のものであるか否かを判断する必要がある。誤差範囲といっても明確な基準があるわけではなく、これまで個人の経験に基づいて判断されてきた。本研究では、流出モデルとして貯留関数法を採用して流出量の確率応答を求めることによって、推定された流出量の信頼限界を得ようとした。流出量の確率密度関数が必要となるが、流出量の1〜4次モーメントを求める理論式を新しく誘導した。また、実測降雨量を解析より、時間単位の小さな降雨量は指数分布で表されることが分かった。降雨量を独立な指数分布に従う不規則関数として、流出量の1〜4次モーメントを得た。得られ主な結果を以下に示す。1.流出量の2〜4次モーメントには、流出モデルのパラメータ、降雨量の2〜4次モーメントの他に降雨量の平均値が関係している。したがって、降雨量の規模ごとに資料を整理する必要がある。定常・非定常の降雨系列について検討した結果、流出量はガンマ分布で近似できることを理論的に明らかにした。