著者
鈴木 茂 番匠 吉衛
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.706-711, 1969-03-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
22

キナルジンまたはクロルキナルジンとハロゲン化無水フタル酸(クロルー,ブロムー,ヨウ素置換)との縮合によりキノフタロン系の黄色有機顔料の合成を行なった。顔料の性質を検討後,ハロゲン原子と顔料の性質の間につぎのような関係が見い出された。1)フタロイル基のハロゲン原子は顔料の耐光性を著しく向上させる(最高8級),一方,,キノリル基のベンゼン環のハロゲン原子はむしろ低下させた。2)得られた顔料は高度にハロゲンで置換されていても,ある種の高沸点溶媒にはわずかに溶解した。3)一般にスルホン化されたレーキ類は鮮黄色で光,溶媒に対し良い堅ロウ性をもった。特に,Mn-,Caレーキはすぐれた性質を有した。しかしこれらのレーキ類はカセイソーダ溶液中で変色する欠点をもっていた。