著者
白坂 康俊
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.331-335, 2002-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

運動障害性構音障害の機能回復において, 最も重要な要因の一つは, 発現機序の正確な特定である.しかし, これまでのような, 聴覚印象的な評価と各発声発語器官の粗大運動レベルの機能評価を結びつける方法では十分に特定できるとはいいがたく, また具体的な訓練プログラムも立てにくかった.今回, 日本語の各音素を実現するために必要な構音動作的要素を抽出し, この要素ごとに運動機能低下を評価する, いわば調音音声学的評価方法を提唱した.同時に, この評価方法で, 構音動作的レベルと各発声発語器官の粗大運動レベルの運動機能低下の関連性を評価できることも示した.さらに, 構音動作的要素の問題点に対し, 運動障害性構音障害のタイプ別の特徴に配慮した訓練アプローチ, いわば運動学的アプローチを適用することの重要性を提言した.
著者
白坂 康俊
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.248-252, 2007-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
4

AACを適応する場合, コミュニケーションを維持するための言語力ならびに精神機能の評価と, 機器を操作する身体機能の評価を行う.評価の結果, 言語処理過程のうちどの過程の障害かが判断できるので, それにそって適応を決定する.適応にあたっては, 実際の装用状態での継続的な評価が重要であり, 実用的に使用している状態まで確認することが大切である.また, AACの限界は, 使用する側の障害の重症度から生じる限界と, 機器そのものがもつ限界がある.こうした限界を十分知りながら適応を考えることにより, 初めて障害をもつ方のQOLに貢献することができる.その一方で, 適応の限界を広げていくための努力も強く求められている.