著者
白岩 洋子
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.284-289, 2014-08-10 (Released:2014-08-13)
参考文献数
16
被引用文献数
1

写真の修復技術はあいにく国内ではまだ馴染みが薄くほとんど知られていない.しかしデジタル媒体が主流になりつつある現在においても,過去から現在の「もの」としての写真を保存する上で重要な役割を担っている.昨今,写真の歴史的価値がますます注目され,写真作品が収集の対象となっている中,この分野に関する理解と発展の必要性を強く感じている.写真は制作,保存,展示のそれぞれの工程で劣化が起こるため,損傷や劣化の促進を防ぐための適切な対策が重要である.またそのような予防対策だけではなく,損傷を治療する修復,修理も必要な場合がある.ここでは,修復に対するアプローチ,修復工程や処置を紹介すると共に,2011年に起こった東日本大震災によって被災した写真の救済について,筆者の経験を解説する.
著者
白岩 洋子
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.176-180, 2011

2011年3月11日の東日本大震災は当然ながら被災した各地に存在する写真にも甚大な被害を与えた.震災後すぐに各地でボランティアの人々が写真やアルバムの洗浄を始め,写真の救出方法ガイドライン作成の早急な取り組みが必要とされた.ここでは4月22日から25日にかけての被災地における実際の作業の様子,写真やアルバムがどのような被害を受けていたかの報告と応急処置,救済の課題について述べる.<br>
著者
白岩 洋子 山口 孝子
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.214-219, 2010 (Released:2011-08-27)
参考文献数
7

ダゲレオタイプはその繊細な表面と環境に敏感な理由から,保存の上でハウジングが重要視される.ハウジングとはこの場合,作品の保護を目的とした額装,収容のシステムを指すが,それ自体が作品の一部となっていることが多い.従って,修理を行う場合は制作された時のハウジングの装飾様式の歴史的価値や特徴を考慮しなければならない.ここでは東京都写真美術館所蔵の2点の作品のケーススタディを通して,それぞれのコンディション及びハウジングに生じている様々な問題を見極め,何を残して,何を新しくするのか,新たなハウジングの目的と方法,修理の際の注意点などを述べた.新たなハウジングが施されたダゲレオタイプは,環境からの影響を抑えることができ,そのハンドリング,展示,保管をより安全に行うことができる.