著者
白木 小三郎
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.60.2, pp.621-624, 1958-10-05 (Released:2017-08-30)

先に寛永10年の「肥後藩人畜家屋敷改帳」に記載されている住居家構の形式から、九州地方特に佐賀熊本地方に卓越している「鍵屋」形式の形成の過程を考えて見た。こゝではその間の史料として、熊本県立図書館所蔵の「西南役焼失家屋調」を取上げて見る事にする。西南戦争(明治10年)による被害調査の膨大なる記録の内に、焼失家屋に関する調査が47冊ある。その内8冊には屋根形式、建物配置等の概要は勿論、一部間取図も書き添えられている。その他のものにも建坪数と屋根葺材料等と共に被害の程度が大略記載されている。この記録は大体、被害による損害保証の要求の基礎資料であつて、記載の方式も区々様々で、全地域統一されたものではなかつたようである。然し規模形式の大要は知るに足るものである。