著者
百瀬 翔太 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.25-30, 2012-10-19
参考文献数
11
被引用文献数
1

人間の可聴域上限を超える高周波成分が可聴音と共存することで,人間の心理・生理面に様々な良い影響を与える効果(ハイパーソニック・エフェクト)があるという報告がされている.本報では自律神経系の活動に注目し,自律神経機能のバランス指標となるLF/HFと,脳波α波を指標として,両者を比較することで楽音中に含まれる高周波成分が生理的側面におよぼす影響を検討した.その結果両方の指標において,高周波が共存する楽音提示中は提示前と比べてよりリラックス状態になり,高周波を除外した楽音提示中は提示前と比べてよりストレス状態になるという傾向が示された.よってこれらふたつの指標には整合性があり,高周波成分による自律神経系への影響も,生理に様々な影響をおよぼすハイパーソニック・エフェクトのうちのひとつの効果なのではないかということが考えられる.またこれより,高周波成分による脳内の状態の変化を呼吸器系の変動から推測できる可能性が示唆される.