著者
益田 喜和子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2022-04-22

台湾の先住民族による汎エスニシティは、1980年代の権利回復を求める原住民族運動を端緒に顕在化した。こうした異なる民族を「原住民族」としてまとめ上げる汎原住民意識は、既往研究において、運動における政治的戦略としての側面が強調され、その役割や機能が分析されてきた。一方、汎原住民意識の顕現や「都市原住民」の増加に伴い、現代の原住民諸民族間の関係や人々の帰属意識がいかに変化しているのかについては十分に明らかにされていない。本研究では、現代台湾の都市における汎原住民族規模の団体や異なる民族の共住関係に着目することを通じて、汎原住民意識が都市原住民の間でいかに共有・維持されているのかを明らかにしていく。