著者
中村 謙介 村山 和子 太田 東吾 貝田 豊郷 佐橋 佳郎 富田 寛 村山 暉之 盛 克巳
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.221-225, 1989-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
7

咽喉痛, 疲労倦怠感を主訴とした夏風邪の患者に麻黄附子細辛湯加甘草を与えたところ, 風邪症状と共に疲労倦怠感が消失した。以後患者は風邪とは無関係に疲労倦怠感の治療のために本方を服用するようになった。この症例にヒントを得て, 疲労倦怠感を主訴とする虚弱体質, 自律神経失調症, 術後疲労に本方を投与し効果を得ている。いまだ少数であるが印象に残った数例を報告し, 本方の有効な疲労倦怠感を明確にする目的で, 患者の自他覚症状の病態分類を試みた。この結果麻黄附子細辛湯証は陰証寒候, 虚証, 表証, 肺 (呼吸器) 症状, 水毒の五つの病態の混在したものであり, このうちの虚証が顕著となった易疲労倦怠に本方が有効であると結論した。