著者
盛本 晶子
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-13, 2018 (Released:2018-07-10)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本稿の目的は,人々がオンラインゲーム内コンテンツの購入もしくはオンラインゲームをプレイすることに対して料金を支払う,いわゆる「課金」行動について時間割引の観点から検証することである.東京国際大学の有志学生に対してアンケート調査を行い入手したデータを分析した結果,(1)時間選好率は課金行動に影響を与えないこと,(2)現在バイアスの程度が強いほど課金する傾向があること,(3)ナイーブの度合いが強いほど課金する傾向があること,の3点が明らかになった.
著者
盛本 晶子
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-59, 2009 (Released:2011-12-03)
参考文献数
18

双曲線型割引関数を持つ個人は,過剰消費の誘惑という自己統制の問題を抱えている.賢明な個人は,この誘惑に打ち勝つためにコミットメント手段を利用する.流動性の低い資産での貯蓄は過剰消費を防ぐために有効なコミットメント手段だが,このコミットメント手段を利用することは,流動性の高い資産からの限界消費性向の上昇·流動性の低い資産からの限界消費性向の下落に繋がる.それゆえ双曲線型割引関数を持つ個人の限界消費性向は資産の流動性に依存して異なる.本稿では,2005年から2007年の間に日本国内において大阪大学が実施した「暮らしの好みと満足度に関するアンケート」を用いて,家計の割引構造と限界消費性向との関係を検証した結果,双曲線型割引関数を持つ家計はそれ以外の家計に比べて,所得の変化が消費量に与える影響は大きい一方で,固定資産残高の変化が消費量に与える影響は小さいということがわかった.