著者
藤野 博 盧 熹貞
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.181-190, 2010-09-30
被引用文献数
1

知的障害特別支援学校における補助代替コミュニケーション(AAC)の利用実態について調査した。東京都内の知的障害特別支援学校全81学部に質問紙を送付し、55名の教員から回答を得た。絵カードと写真カードは95%以上の教員が使用していると回答していたが、コミュニケーションボード、コミュニケーションブック、学校/教室のオリジナル身振りサイン、パソコンなどの使用比率は50%に達せず、VOCAの使用は30%を下回った。一方、いずれのコミュニケーション手段も50%以上の教員が必要と考えていた。パソコン、コミュニケーションブック、マカトンサインは、50%以上の教員が児童生徒に教えることが難しいと回答していた。また、マカトンサインは小学部に比べ高等部で有意に使用頻度が減少し、パソコンはこれと対照的に増加する傾向が明らかになった。調査の結果に基づき、知的障害特別支援学校でのAAC利用の現状と課題について分析し考察した。