著者
梅村 守 相沢 直行
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.259-268, 1986

本報では, 精神作業のうち演算作業 (加算作業, 加減算作業) および"アメフリ"抹消作業を取り上げ, 騒音レベル (暗騒音, 60, 70, 80, 90dBの5水準) を変化させたときに作業の質および作業の量 (あるいは時間) がどのように変化するかを実験を通して考察した.<br>実験結果としては, 加算作業, 加減算作業とも騒音の影響を受け, 騒音レベルの増大とともに誤答率および未作業数が増大する. 判断を伴う押印作業も同様に騒音の増大とともに押印ミス率および所要時間の平均値が増大する. "アメフリ抹消作業"については騒音による影響は認められなかった.<br>上記の実験結果より, 作業の種類による騒音の影響の有無に着目し, その違いがどこに起因するかを考察している. その結果, 作業を遂行する際に聴覚が介在するかどうかということが原因であると考えられることを指摘している.