著者
相藤 巨
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.45-53, 2015 (Released:2016-03-04)
参考文献数
11

本稿は,NPOに派遣された行政職員が,その派遣期間終了後に自らが所属している組織に対して,どのような手法で行政組織に協働の本質を伝えようとしたかについて,実例を交えて考察を行ったものである.派遣職員は行政組織へ戻った後,NPO及び協働への理解を広めるために様々な施策を展開し,NPOと行政それぞれがお互いの組織に対して抱いていた固定観念とでも言うべきものに対して,ある種の変化をもたらしたことが確認された.NPOへの派遣効果は,派遣された職員「個人」においては想定以上の効果があり,その個人が所属する行政組織内部における「集団」に対しても,一定の効果を確認することができたものである.今後は,職員「個人」としての変化をいかに「集団」を超えた「組織」としての変化に結びつけ,かつ,変化の永続性を担保していくのかに関する検証が,今後の研究における課題になると考えている.