著者
相馬 壽明 関根 弘子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.27-34, 1986-09-30 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1 1

本研究の目的は感情語(16語)を用いて聴覚障害児童・生徒の語彙について検討することである.聴覚障害児童・生徒111名と健聴児童・生徒322名に対して2種の語彙検査(検査1:選択課題,検査2:短文作成課題)を施行した。検査結果から以下のことが明らかにされた。(1)聴覚障害児童・生徒は健聴児童・生徒よりも感情語の語彙量が劣っており、聴覚障害高等部3年生は健聴小学4年生のレベルに達していない。(2)聴覚障害児童・生徒は個人差が大きく,学年進行しても個人差は小さくならない。(3)聴覚障害児童・生徒は、感情語の中でも比較的単純な感情語に対しては正答率も高く、健聴児童・生徒との間に差がみられないが、複雑な感情語に対しては著しく正答率が低下する。