著者
眞柄 賢一
出版者
舞鶴工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

NCVCは申請者が10年以上も開発を続けており、すでに3軸マシニングセンタ用CAMソフトとしての地位を確立しているため、そのユーザインタフェースを崩さずにワイヤ放電加工機向けのNCプログラムが生成できるよう努めた。単純な図形や一定のテーパ角度等は、ワイヤ放電加工機用の切削条件設定を別に追加することで簡単に実現できた。ワイヤ放電加工機特有の加工では、中抜き加工と上下異形状切削の区別を、前者はAWFポイントをCAD作図時点で指示する方法、後者は2つのレイヤ情報をXY軸とUV軸に対応させる方法を考案し、解決することができた。四角形と円など線の数が違う上下異形状は、プログラム内で微細線分を計算することで対応した。どうしても線の数が合わせられない錐形状等は、一時停止点をCADで作図することを考案し、それを認識させることで解決することができた。申請時点でワイヤ放電加工機向けのシミュレーション機能は実装できていたので、生成したNCプログラムはシミュレーション機能のデバッグも兼ねて入念なチェックを行った。実機での加工実験は、本校ではまだ経験が浅いことから、NCVCの教育利用と機器の導入実績などを勘案して松江高専様を訪問した。適切なアドバイスを受けながら進めることができ、加工実験は良好な結果を得ることができた。そのスキルは本校実習工場にもフィードバックできている。今回の取り組みによって、これまでのユーザインタフェースを崩すこと無くワイヤ放電加工機特有の上下異形状切削に対応することができた。しかもそれを2次元CADで表現した図形情報からNCプログラムが生成できる意義は大きいと思われる。今後は教育機関だけではなく広く一般企業にも展開できるよう問題点を整理し開発を進めていきたい。