著者
真下 正道
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.627-638, 1994-11-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
36

インポテンス患者に対する, vasoactive drugの少量多剤混合薬を用いた陰茎海綿体注入療法の有用性を評価するために, 基礎的, 臨床的検討を施行した.まず基礎的検討として, ウサギ陰茎海綿体を用いた実験を行い, 塩酸パパベリン単独, メシル酸フェントラミン単独と, 少量多剤混合薬 (1/2用量の塩酸パパベリン+1/2用量のメシル酸フェントラミン) の陰茎海綿体平滑筋弛緩反応を比較した.少量多剤混合薬は, 単独薬とほぼ同等の効果を示した.さらに, 臨床的検討として, インポテンス患者に対する, 各種vasoactive drug陰茎海綿体注入による勃起反応について比較検討した.インポテンス患者に対して, 塩酸パパベリン単独, プロスタグランディンE1単独に比べて, 塩酸パパベリン, プロスタグランディンE1, メシル酸フェントラミンを少量ずつ混合した3種少量混合薬は, 勃起反応が強く, 副作用, 合併症は少なかった.また, 従来の単独薬による陰茎海綿体注入療法では, 有効性が乏しかった静脈性インポテンス患者にも有効性が認められた.このvasoactive drugの少量多剤混合薬を用いた陰茎海綿体注入療法は, インポテンス患者の治療に有用であると思われた.