著者
内田 豊昭 足立 功一 青 輝昭 藤野 淡人 横山 英二 小俣 二也 吉沢 一彦 黒川 純 門脇 和臣 庄司 清 真下 節夫 遠藤 忠雄 小柴 健
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.890-896, 1993-05-20
被引用文献数
4 6

1971年8月から1991年7月までの20年間に北里大学病院泌尿器科において経験した経尿道的手術は3,215例であった.その内訳は,前立腺肥大症2,008例,膀胱腫瘍692例,前立腺癌258例,膀胱頸部硬化症167例,尿道狭窄38例,慢性前立腺炎20例,他の泌尿器疾患32例という順であった.このうち下部尿路通過障害を主訴としてTURPを施行した前立腺肥大症2,008例と前立腺癌258例の計2,266例について臨床統計的に検討した.2,266例の年齢は44歳から96歳(平均70.1歳)で,切除時間は最短9分から最長245分(平均73.0分)切除量は最小1gから最大177g(平均27.0g),使用灌流液量は最小4Lから92L(平均25.0L)であった.術後の膀胱カテーテルの留置日数は3日間から44聞間(平均4.1日間),入院日数は最短10日間から最長81日間(平均12.1日間),術中・術後合併症は合計308例(13.6%),輸血症例は305例(13.5%),死亡例は1例(0.04%)に認められた.それぞれの項目につき,疾患別,切除量別,切除時間別に検討したところ,疾患別では前立腺肥大症群が切除量,切除時間,灌流液量,術後カテーテル留置期問,合併症率が高く,前立腺癌群に入院期間と輸血例が多く認められた.また切除時間,切除量が増大するにつれ各項目とも比例増大した.
著者
荒川 孝 久保 星一 真下 節夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.174-182, 1992-02-20
被引用文献数
4

1984年12月から1989年12月までの約5年間に,11例の単腎サンゴ状結石に対し体外衝撃波結石破砕術(以下ESWL)を中心とした結石破砕治療を試みた.8例が結石にて対側の腎摘をうけたかまたは無機能となっており,3例が腎結核にて腎摘をうけている.男性6例,女性5例で平均年齢はそれぞれ60.0歳,48.6歳であった.結石の大きさは,最大がX線写真上85×44mm,最小が30×30mmである.11例中術前にシスチン結石の診断をえている1例に対してのみ経皮的腎結石破砕術(以下PNL)を先行させたが,他の10例はESWLから破砕治療開始とした.ESWLのみで治療しえたものは3例で,他の8例中6例に経皮的腎瘻造設術(以下PCN),2例にPNLがそれぞれ併用となった.3例では明らかな合併症は認めなかったものの,他の8例中7例で38.5℃以上の発熱を見,内2例では,敗血症にまで及んだ.さらに5例では血清クレアチニン値が2.0mg/dl以上に上昇したが,いずれも治療終了後に正常範囲内に回復した.死亡例の経験はなかった.以上のごとく単腎サンゴ状結石においてさえもESWLを中心とした結石破砕治療は可能と思われる.しかしながら,当疾患においては破砕片の尿管への嵌頓が即,急性腎不全,敗血症に直結することが予測されるため,より一層の経過観察が必要と思われる.