著者
吉永 英俊 平田 祐司 藤山 千里 市木 康久 井口 厚司 真崎 善二郎 南里 和成
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.304-307, 1995-02-20
被引用文献数
2

過去6年間に7例の成人巨大尿管症を経験した.年齢は46〜67歳(平均53.7歳)で,すべて女性であった.偶然発見例が4例あり,残り3例はそれぞれ腎盂炎,血尿,嘔気嘔吐で受診した.全例が片側性で,左5例,右2例であった.Pfister-Hendrenの重症度分類でgrade I 1例,grade II 5例,grade III 1例で,grade II以上の6例に再建術(Tapering and Reimplantation)を行った.尿漏などの合併症もなく,術後平均15日目に尿管ステントは抜去した.術後平均観察期間は25.4ヵ月でgrade IIの5例は著明に改善し,grade III 1例は軽度の改善に留まった.成人の場合積極的治療の要否には議論のあるところであるが,上記成績は再建術の有効性を示すものと考えられた.
著者
井口 厚司 吉永 英俊 真崎 善二郎 次富 久之 和山 一夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.1430-1435, 1991-09-20

表在性膀胱腫瘍患者のうち,TUR-Btによって腫瘍を根治的に切除できたと考えられた患者47名を対象とし,術後10日以内の尿細胞診について検討した。この術後短期問に,1度でも尿細胞診が疑陽性または陽性となったものが7名おり,そのうち6名(85.7%)が術後再発例または不完全切除例であった。一方,術後早期の尿細胞診が陰性であった症例では40名中20名(50.0%)に再発がみられた。また術中,メチレン青を用いたmicroscopic chromocystoscopyによって,47名中11名に,concurrent urothelial atypia (carcinoma in situ, dysplasia) がみつかった。このうち9名が術後再発例または不完全切除例であった。これらの結果をまとめると,TUR術後10日以内に尿細胞診が一度でも陽性または疑陽性になったか,または腫瘍に随伴した上皮内病変をもつものは全部で15名みられ,このうち12名(80%)に再発または不完全TURがあることがわかった。これは,どちらもみられなかった場合の再発率33例中14例(42.4%)と比べて高率であり,また再発例を比べると,前者のほうが再発までの期問も短いことがわかった。