- 著者
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井口 厚司
吉永 英俊
真崎 善二郎
次富 久之
和山 一夫
- 出版者
- 社団法人日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.9, pp.1430-1435, 1991-09-20
表在性膀胱腫瘍患者のうち,TUR-Btによって腫瘍を根治的に切除できたと考えられた患者47名を対象とし,術後10日以内の尿細胞診について検討した。この術後短期問に,1度でも尿細胞診が疑陽性または陽性となったものが7名おり,そのうち6名(85.7%)が術後再発例または不完全切除例であった。一方,術後早期の尿細胞診が陰性であった症例では40名中20名(50.0%)に再発がみられた。また術中,メチレン青を用いたmicroscopic chromocystoscopyによって,47名中11名に,concurrent urothelial atypia (carcinoma in situ, dysplasia) がみつかった。このうち9名が術後再発例または不完全切除例であった。これらの結果をまとめると,TUR術後10日以内に尿細胞診が一度でも陽性または疑陽性になったか,または腫瘍に随伴した上皮内病変をもつものは全部で15名みられ,このうち12名(80%)に再発または不完全TURがあることがわかった。これは,どちらもみられなかった場合の再発率33例中14例(42.4%)と比べて高率であり,また再発例を比べると,前者のほうが再発までの期問も短いことがわかった。