著者
真田 哲也
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.760-764, 2011 (Released:2019-09-06)
参考文献数
7

2011年3月11日に発生した東日本大震災は地震による直接的な被害はもとより,それによって引き起こされた大津波により,さらに多くの壊滅的な被害をもたらした。今回の事故では,ベントや水素爆発による原子炉建屋の損傷により放射性物質の環境への放出があり,広範囲にわたり空間線量率の上昇や農畜産物の汚染,汚染水の漏えいによる,海水や海産物への影響が報告されている。 放射性物質の環境への放出はやがて飲食物の汚染へと広がり,最終的には人への内部被ばくの直接の要因となるため,それらの放射能濃度を把握することは極めて重要である。本稿では平常時の日本人の食物摂取による預託実効線量を評価した結果を概説し,現在では天然の放射性物質(ポロニウム210およびカリウム40)からの寄与が大きいことについて述べる。