著者
荒井 基 鈴木 ひろこ 真田 成子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.89-95, 1974 (Released:2010-10-29)
参考文献数
5

(1) 全国124カ所の保健所の母親学級に参加した5,318名の妊婦・授乳婦について1970年と1971年において妊婦・授乳婦に関する食品禁忌のアンケート調査を実施した。回答した者は4,021名で回収率は75.6%であった。(2) 回答者の54%が1つ以上の禁忌食品を知っており, 1人当り平均2.0件となる。(3) 年令の多い者が若い者より多くの禁忌食品を知っていたが, 事務従事者, 商業, 農業に従事している者の間に差はなかった。(4) 地方別の禁忌食品の知悉度をみると, 北海道においては他の地方より禁忌食品を知っている者が多かった。(5) 禁忌を実行する者は教育程度が高くなるにつれて減少している。(6) 禁忌食品として挙げられたものは動物性食品71種, 植物性食品94種, 香辛・嗜好性食品22種, その他25種, 合計212種であった。(7) いか, たこ, 柿, なす, 香辛刺激性食品, コーヒー, アルコール性飲料などが出現頻度が高く, また頻度はあまり高くはないが, 栄養価の高い食品, かぼちゃ, 獣肉, そば, みかんなどが禁忌されていた。(8) 食品禁忌はその食品が多く生産される地方において高い頻度で禁忌されている傾向がみられた。